7人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、もうちょっとしたら大きな取引が終わるんだ。
そしたら、時間が出来るから、どこかで会わないか?」
「あぁ…そうだな。
俺はいつでも構わない。」
「そうか、じゃあ、日程がはっきり決まったら電話する。」
電話を切ってからも、なんとなく気持ちが浮かれていた。
次の日、俺は、久しぶりに服を買いに出かけた。
服を買いに行ったのなんて、一体何年ぶりのことだろう。
もしも、本当にヴォルケイノ復活ライブをやることになったら…
ステージで着るのは、革ジャンと革パンか…
中にはロックTを着て…
そんなことを考えると、思わず顔がにやけてしまった。
その数日後、俺はカラオケに向かった。
一人で、昔良く聞いていた洋楽のバンドの曲を歌った。
俺の声は、意外にもまだ生きていた。
昔と変わらない…とは言い過ぎかもしれないが、ハイトーンのバンドの曲を難なく歌えた。
そのことが嬉しくて…それに、久しぶりに触れた音楽はやっぱり俺の血を燃え上がらせて
…歌うにつれて、俺はどんどん本気になっていて…
ふと気付くと、扉の外には観客が群がっていた。
昔から声量には自信があったが、その声量もまだ健在のようだ。
俺はくすぐったいような快感を感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!