タイムトリップはいかがですか?

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「あ、もうちょっとしたら大きな取引が終わるんだ。 そしたら、時間が出来るから、どこかで会わないか?」 「あぁ…そうだな。 俺はいつでも構わない。」 「そうか、じゃあ、日程がはっきり決まったら電話する。」 電話を切ってからも、なんとなく気持ちが浮かれていた。 次の日、俺は、久しぶりに服を買いに出かけた。 服を買いに行ったのなんて、一体何年ぶりのことだろう。 もしも、本当にヴォルケイノ復活ライブをやることになったら… ステージで着るのは、革ジャンと革パンか… 中にはロックTを着て… そんなことを考えると、思わず顔がにやけてしまった。 その数日後、俺はカラオケに向かった。 一人で、昔良く聞いていた洋楽のバンドの曲を歌った。 俺の声は、意外にもまだ生きていた。 昔と変わらない…とは言い過ぎかもしれないが、ハイトーンのバンドの曲を難なく歌えた。 そのことが嬉しくて…それに、久しぶりに触れた音楽はやっぱり俺の血を燃え上がらせて …歌うにつれて、俺はどんどん本気になっていて… ふと気付くと、扉の外には観客が群がっていた。 昔から声量には自信があったが、その声量もまだ健在のようだ。 俺はくすぐったいような快感を感じていた。
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