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またその数日後、俺は理容店に行って、髪を整えた。
さすがにもう金髪なんて出来ないが、だいぶ白くなった髪を濃い目の茶髪に染め、伸ばしっぱなしだった髪を綺麗に整えてもらった。
「岩崎さん、どうしたんだ?
えらく男前になって…」
同室の中田さんがにやにやしてそんなことを言う。
「近々、昔の友達に会うんだ。」
「友達って…女かい?」
「まさか、男だよ。
ただ…俺とは違って、成功してるからな。」
「そうか…」
髪を整えて、いつもよりちょっとだけましな服を買ったくらいで、ケイジに張り合えるはずなんてないし、元々張り合うつもりもない。
俺はケイジに会えるのが嬉しいだけだ。
だが……本当はひとつだけ気がかりなことがあった。
それは、あいつのことだ…
ケイジとはもう何度も電話でしゃべってる。
その間に、メンバーのことや、他の知り合いの話は聞いた。
だが…あいつの話だけは聞いていない。
ケイジは、明らかにあいつの話を避けている。
それが意味することは…
俺は、頭を振って嫌な考えを打ち消した。
そうは思いたくない。
もう会えなくても構わない。
誰かと結婚してても、あいつが幸せならそれで良いんだ。
でも…もしも、もうあいつがこの世にいないのだとしたら…
やっぱり、そんな話だけは聞きたくない。
(どうか元気でいてくれ…)
俺は、タイムトリップで見たあいつの笑顔を思い出した。
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