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「あぁ、わかった。
もしも、わからなかったら、また電話するから。」
「あぁ、じゃあ、会うのを楽しみにしてるからな!」
ケイジと会う日が決まった。
家庭的でうまいレストランがあるとかで、そこで待ち合わせることになった。
高い店は無理だぞって言ったら、良心的な値段だから心配すんな!ってケイジは笑ってた。
待ち合わせの場所は、電車で5つ目の駅で乗り換え、そこから地下鉄で6つ目、そして、徒歩10分とのことだった。
それほど遠くもないが、全く行ったことのない場所だ。
まぁ、俺は方向音痴ってわけでもないから、
辿り着けないってことはないだろう。
天気が良いこともあって、俺は約束の時間より早くに宿舎を出た。
(どこかでコーヒーでも飲むか…)
最寄り駅に着いたのは、約束の時間よりも3時間近く早かった。
いくらなんでも早く着き過ぎた。
まるで、遠足を待ちきれない子供みたいだ。
目印となる場所はすぐにみつかったから、レストランもすぐにみつかると思う。
あたりをうろうろするにしてもあまりに早いから、俺は喫茶店で少し時間を潰すことにした。
交差点の向こうに商店街らしきものがある。
待ち合わせのレストランも同じ方向だ。
商店街なら喫茶店もあるだろう。
そんなことを考えた時…俺の視線は一人の女性に釘付けになってしまった。
(まさか……)
若い女性と話しながら歩くその女性は、幸だった。
昔と比べればずいぶん老けてはいるが、幸に間違いないと思った。
「幸……」
俺は、熱に浮かされたかのように、その女性の所へ向かった。
その時…スピードを上げた車が俺の目の前に現れたのだ。
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