左の道

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「私は…翔さんのこと、忘れたことがなかったわ。」 幸がぽつりと呟く… 感動で胸がいっぱいになって、俺は何も言うことが出来なかった。 「あ、翔。 俺、おまえがいなくなった後、幸に惚れた時期があるんだ。 でも、あっさりと振られた。 幸は俺よりおまえの方が良いんだってさ。全く、趣味、悪いよな。」 信じられない想いだった。 あんな酷いことをしたのに、幸が俺のことをずっと変わらず想っててくれたなんて… 「……遅過ぎないか?」 口を吐いて出たのはそんな言葉だった。 「私がこんなおばさんになったから、いやになったの?」 「違う…!そうじゃない。 だけど、俺…今、最低の生活してるんだ。家さえなくて…」 「じゃあ、うちに来れば?」 その言葉が俺を三十年前の過去へ飛ばした。 そうだ…俺はやり直せば良いんだ。 あの時のタイムトリップと同じように…
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