第一科目 国語

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第一科目 国語

僕の名前は青倉賢吾。都内の大手塾「虹色ゼミ」で塾講師をしている。 最近評価されつつあり、遂に部下を三人持つこととなった。 一人目は春坂千夏という女性の方だ。都内私立大学の文学部を卒業後、新卒で当塾に就職した。最初は事務職としての採用だったのだが、生徒と信頼関係を築いているときの姿が評価され、塾講師として働くこととなったそうだ。年は僕より二つ下だが、むしろ先輩なのではないかと思うくらいに大人びている。 二人目は梅野雨音という男子大学生だ。国立大教育学部の四年生で、どうやら国語の先生になりたいらしく、現在は教育実習に励んでいる。かなり勤勉な学生で、生徒からも慕われている。そのため最近では休みがちになっているが、その分来られるときは必死に働いてくれている。 そして三人目だが、彼が最近の悩みの種だ。秋川冬樹君という、都内私立大学の経済学部の二年生だが、正直なところ勤務態度はあまり良くない。髪を金髪に染めた、僕の苦手なタイプの人種ということもあり、あまり厳しく注意が出来ないというのが現状だ。 大変恥ずかしい話ではあるが、部下のマネジメントが出来ていないことは今後の課題となっている。未熟さを痛感する毎日だ。今まで上の指示を聞いてさえいればよかったのはある意味気楽だったのかもしれない。 そんなことを思いながら、重い足取りで塾へと足を運んで行った。
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