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翌朝七時、僕は捜査のために鈴蘭中学校に向かった。朝早いにもかかわらず、校内には人の気配がした。それも決して少なくない数だ。昇降口の近くには警部がいた。
「おい、お前なんでこんなところにいる?」
「そ、捜査のためです」
「はあ、捜査だと?ていうか、なんで勝手に学校に入っているんだ!」
「そうですよ。部外者は立ち入り禁止です」
花木先生が言う。
「わ、私はこちらで教育実習をしている梅野君のバイト先の上司でして、その、彼に用事があって…」
僕はしどろもどろに返答した。
「そ、そうなんです。私が呼びました」
梅野君が現れて言った。彼も朝早くから学校に来ていたようだ。
「しょうがねえな。捜査の許可をやる。だが、常時俺の監視下にいるんだ。分かったな?」
「しかし」
「実を言うと今回の事件、俺も何か裏があるような気がしてならねえんだ。事件解決が最優先だし、ちょっと助言をもらうくらいはいいだろう」
そう言うと、警部は花木先生の方を向き、頭を下げた。
「こいつは以前、警察の捜査に協力していただいたことがあります。一見頼りないやつですが、私が苦戦していた難事件を簡単に解いてみせました。責任は俺が持ちます。お願いします!」
花木先生は困惑した。強面の警察官が急に礼儀正しくお礼をしているのだ。驚くのも無理はない。
「お、俺からもお願いします!」
どこからか金子君が現れ、頭を下げた。どうやら部活の朝練で来ていたようだ。
「た、確かに菊池は桜田先生と揉めていました。それを俺が見たのは紛れもない事実です。だからって、菊池が犯人だとは思えないんです!だから、お願いします!」
その様子に僕らも驚いた。
「わ、分かりました。とりあえず、校長にかけ合ってみます」
彼女は困惑したままだったが、足早に校長室の方へと向かった。
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