ー暁に旅立つならば。ー編 光太郎と被害者 1

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ー暁に旅立つならば。ー編 光太郎と被害者 1

リンゴは特高の攻撃により記憶を失った。 この危機に協力を得ようと タエコ、カヨコと共に光太郎の自宅を訪ねる。 そして光太郎はリンゴを修復する手立てを求めて 知己を訪ねる事を提案する。 翌日の早朝。 光太郎、リンゴ、タエコ、カヨコは アパートを出て最寄り駅に向かった。 リンゴの充電不足から 飛行する事は避けて徒歩で向かう。 駅前の繁華街へ繋がる 味気ない路地の上には 秋の朝日が黄色く光る。 目に刺さる朝日に向かって歩くと 光太郎にはこれも 自分の人生に課せられた 運命の様に思えた。 これまでの人生から 旅立つ事になるような気がした。 家族を失い そして自分と同じように 苦しみ続けている人たちがいる。 自分が助ける義務はないが 腹の底から湧いてくる怒りが 行動を起こさざるを得なくしていた。 危険があってもやらねばならない。 道中、4人で今後を話し合った。 タエコ、カヨコはいったん自宅に戻り その後登校すると言う。 リンゴは光太郎と共に行動する。 駅に入り 4人で電車を待つホームに立つ。 ここで二手に分かれる。 光太郎は心配そうにリンゴを見る2人に声をかけた。 「大丈夫。これから会いに行く人は顔が広いから 何か手立てを見つけてくれるはずだよ。」 カヨコは心配と好奇心も相まって 自分もついて行きたい気持ちをぐっと飲みこんだ。 詰め寄る様に光太郎に言った。 「りったんを守ってあげて。絶対よ⁉」 続いてタエコが赤く腫れた目で言う。 「…りったんの責任、 上野君が取らなきゃダメよ。絶対よ⁉」 「…うん。」 光太郎は少女2人の気迫に気圧されながら返事をした。 リンゴはその間も会話には興味を示さず 無表情で周囲の警戒だけをしている。 タエコとカヨコはリンゴの手を取ると言った。 「学校で待ってるから! 絶対戻って来てね!」 カヨコはそれに続けて リンゴの胸元を肘でつつき 小声でささやいた。 「上野君とうまくやんなさいよ。ヒヒヒ。」 電車がホームに入って来る。 少女2人は手を振りながら電車に乗り 出発のベルと共に行ってしまった。 光太郎とリンゴ 2人だけになった。 「いいか?」 抑揚のない声でリンゴが話しかけた。 「あの2人の手引きなので君を頼るが 私は信用していない。 余計な事をしたら命はないと思え。」 「…わかってるよ。」 光太郎は不服そうに答えた。 リンゴは光太郎の返事を 聞くか聞かないかで歩き始めた。 「君の知己を尋ねる前に 寄りたい所がある。」 「えっどこ?」 光太郎は慌ててついて行く。 別のホームから電車に乗り込み ある所へ向かった。
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