ー暁に旅立つならば。ー編 侵入者 2

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ー暁に旅立つならば。ー編 侵入者 2

木曜日 朝 第一新東京市立東高等学校 2年C組の教室 エイジが九条明日菜と殴り合いをした翌日。 そしてタエコとカヨコが 光太郎とリンゴと別れた後の事。 教室には生徒たちが 続々と登校し騒がしい。 後ろから2番目の席に タエコは座り 鞄の中身を出していた。 不機嫌そうに ムスッとしている。 佳代子が寄ってくる。 「おい~す。 あれからどうしたよ?」 声をかけられると タエコは興奮気味に 教科書を机にドンと置くと 佳代子の方に乗り出した。 「ああ!おはよカヨちゃん! どうもこうも…」 しかしその時 偶然佳代子の後ろには ちょうどエイジが登校し 通りかかった。 ふいに目が合うが エイジの顔は傷だらけで あちこち腫れあがり絆創膏だらけだった。 その姿に2人が絶句していると エイジはそのまま通り過ぎて 自分の席に行ってしまった。 タエコはプイッと向き返って 顔を真っ赤にして 眼鏡がずれるのも気にせず うずくまった。 「気にならない気にならない あんなの全然気にならないもん! …女って何よもおっ!」 「はいはい。 心の声がダダ漏れよタエちゃん。」 佳代子は呆れながら 自席で頬杖をついている。 エイジは席に着くと うわの空で窓の外を眺めていた。 すると 校舎の階下に何かを発見した。 九条が校舎から出て来て 校門の脇から 校舎裏に入って行くのが見える。 エイジは勢いよく立ち上がり ギターを持って教室を飛び出して行った。 校舎裏で九条はのんきな表情で 鼻歌を歌って歩いている。 「赤い靴~はーいてた…ッと サンスウの奴どこだ?」 人目のない校舎裏、 校舎と外壁の間は10mもない。 校舎と樹木のふちに 区切られて青空が広がる。 地面には枯葉がちらほらと落ちている。 九条はその間の 樹木や花壇、用具小屋などが 並んでいる所を進んでいく。 校舎の影に入り 陽の光が遮られた時。 九条の表情が変わる。 「アタシらとしても お前のその姿を生徒に知られては 困るんだけどなー。 ええ!? 犬飼映二!!」 九条の後ろから 牙雀と融合した姿の エイジが飛び掛かって来ていた。 巨大な体躯で 長い銀髪をたなびかせ 武骨な鉤爪を振りかざしてくる。 燃え上がる憎悪に染まり 禍々しさが噴き出していた。 九条は振り返り 飛び下がってかわした。 空振りした鉤爪が 少し触れただけで 地面は大きくえぐられ 土くれが四方にはじけ飛んだ。 「おわっ!! 普通にそれはヤベえわ。」 九条は 着地するとすぐさま切り返し 2撃目を繰り出そうとする エイジの顔に飛び蹴りを入れた。 しかし 融合によって強化されている エイジには効かない。 九条に掴みかかる。 九条は蹴りこんだ足を 踏み込んで跳ねて逃れた。 地面に着くと 2人は正対する。 間をおいて睨み合った。
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