春の酔い

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 服を脱ぎ、手早くゴムを装着すると、時任は後ろから私を突いた。思ったよりも濡れていたようで、痛みはなく、スムーズに入る。時任は奥まで挿れるとふうと息を吐き、しばらく動かずにいた。 「狭いね」 「わかんないけど」 「わかんないよね」  時任は苦笑しつつ背中をなでると、ゆっくり動き始める。 「ミユ……」  私はミウだけど。  酔ってて舌が回らないのか。相手の名前なんてどうでもいいのか。  まあいい。こちらも大差ない。  時任の前に二人、男と寝たことがある。付き合おうと言われたので、一応は恋人という立場だったのだと思う。「突き合おう」だったのかもしれないが。  一人目は、セックスに応じてすぐ、フェイドアウトされた。  二人目は、他に好きな子ができたと言われたのでわかったと答えると、そういうところだよと苦々しい顔をされた。  人を愛するとはなんだ。  時任が特別な存在だからセックスに応じた訳じゃない。時任に少しだけ興味が湧いて、気が向いた時に誘われた、それだけだ。
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