おうちが一番

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「美羽にはいろいろバレてるな」 「まあ、翼、わかりやすいし」 「夢が叶って嬉しい」  夢。なんて大袈裟な、と言いたくなるけど。まあ、やりたかったことができたのならめでたい。  翼のしたがることはいつもかなり型にはまっているけど、つまりそれはわかりやすいってことだし、こんなに喜ばれるなら、まあ、いいか、と思う。そして、やりたかったことの相手は私がいいんだなと思うと、ちょっとぐっとくる。もう少し望みを叶えてやりたくなるではないか。 「別々の家に住んでないと、待ち合わせデートできないってことは、ないと思う」 「え?」 「同じ家に住んでても、別々に行動して、待ち合わせ場所で会えばいいんじゃない?」 「え……っと」 「またしようよ。待ち合わせデート」  少しの間、翼は固まっていたけれど、こくりと小さく頷き、背中に廻した腕に力を込めた。  観覧車の周回を終え、ゴンドラから出る。  翼から「もう思い残すことはない」と言われたので、帰ることにした。翼の自室はすっかり片付いていて、引っ越し当日に荷物を回収するだけなので、私の部屋に。 「帰るのが一緒の家って、やっぱりいいな」  翼はぼそりと、でも少し嬉しそうに、つぶやいた。
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