おもかげを追いかけて

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 あの人は山登りが好きだった。自身の足で登り、自然を感じながら登頂する、その過程が良いのだと言う。  私もよく誘われた。正直良いものだとは思わなかったが、あの人の楽しそうな足取りや表情、頂上まで登った時の達成感溢れる笑顔が好きだった。それを見る為に登っていた。  今は、あの人の痕跡を辿るのが目的になっている。  もう何度も繰り返している。  辿っていき、あの人が待つところへ行けるのではないか。  そう思いながら、おもかげを追いかけている。
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