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「遅いぞ。パブロフ」
食べ放題の文字が輝く焼肉店の前で、ヤリを携えた長髪の老人が勇者の到着を待っていた。老人の名は『ノーデンス』。
旧神と呼ばれる謎めいた神性の最高神である。ちびっ子たちにカンチョーかまされても、ノーデンスは笑顔を崩さない。そんな彼の趣は、プレゼントを忘れてきた半裸のサンタクロースに見える。
「凄腕のスナイパーに狙撃されたらしい。おかげで左右の乳首が顔を出してしまった」
「黙っていても女のほうから寄ってきた以前の姿はどこへやら……。オマエのベビー服姿は破壊力が高すぎる。繋がったマユ毛といい、邪神と互角に張り合えそうな見た目だな」
彫像を思わせる筋肉モッコリの容姿とは裏腹に、柔和な笑みを浮かべるノーデンス。元イケメンだった巨大勇者の装いにダメ出しをしてくる。
「アンタも人のことは言えないだろ。なんだ、そのカーテンみたいな白い服は? 右肩と右乳首だけ出して恥ずかしくないのか? 回すと金庫が開きそうな乳首だが――」
言いながら、パブロフがノーデンスの乳首を右にまわした。ノーデンスの長いヒゲが徐々に短くなってゆく。
左にまわせば旧神のヒゲがアゴに収納される様子は、シャーペンとボールペンが合体した筆記用具を想起させる。
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