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「カーテンみたいな服ではない。ニトリンで買ったカーテンそのものだ。まあ、着こなしについては捨て置け。あえて言うなら、動きやすいというところか」
ノーデンスは、反撃とばかりにパブロフのスネを小刻みに蹴とばしている。
「ダイエット中の俺を焼き肉に誘うなんて新種の拷問か? 先に言っておく。食後、すぐにウ〇コが出るタイプでな。俺は勇者だが、肛門は駆け出しの冒険者だ。レベル1の肛門から“電気を帯びた勇者”が顔を出すかもしれんぞ」
通行人から飛んでくる冷たい視線をもろともせず、声高らかにパブロフが宣言した。
ノシリと歩いていたパブロフが突然歩みを止める。歩道に貼られた黄色いステッカーらしきものに視線を落とした。
「電気を大切に! トーキョー電力!」
パブロフは覚えたての魔法を試したかったのだろう。『G→』というマークめがけて雷属性らしき魔法をぶっ放す。さきほど宣言したとおり、彼の肛門さまからピリっと飛び出てきた。
上空に暗雲が立ち込め、雷鳴が轟く。雲を割って走ってきた光の矢は、ステッカーを瞬時に消失させた。
いまだ消えない光の矢の行き先を確認したパブロフは、「よし!」と満足気に拳を握りしめる。
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