0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえサナ、前から疑問に思っていたんだけど」
「なんよメル」
「今ウチら、キャラメルリボン食ってるじゃん」
「食ってるね」
ワタシたちは、人気店のダブルサイズのアイスを食べている。
「リボン要素ってどこなん?」
たしかに、ワタシもそこは疑問だった。
なので、スマホで調べてみる。
「キャラメルが帯状に伸びてるじゃん。それだって」
リボンとは帯のことで、文字通り伸びて帯のようになっている状態をリボンというらしい。
「おお。たしかに。じゃあさ、このポッピングシャワーってどんな意味なん? シャワー要素はこのカラフルなつぶつぶなんか? シャワーっていうか隕石じゃん」
「かもしれん。待ってて」
できれば、自分で調べて欲しい。
だが、こいつはよりにもよって片手にかき氷を持っていやがるのだ。
「やっぱりそうだ。ポップロックキャンディなんだってよ」
「ほお。たしかに」
ゴリゴリと音を立てながら、メルがポッピングなキャンディをクラッシュする。
「じゃあ宇治金時は」
「それは調べような」
「ケチー」といいながら、メルは宇治金時をムシャムシャ。
「サナは、もう浴衣買ったん?」
「まだ。ていうか先に痩せんと」
「大丈夫だって。サナは高一のときのスク水まだ着れるじゃん」
「でも、お腹が気になるお年頃なんよ」
「へーきへーき。今から買いに行くべ」
「待ちなよ、メル」
もうかき氷もアイスも食べ終えたメルに、浴衣コーナーまで連れてこられる。
その間に、ワタシは大慌てでアイスを平らげた。
「おー。ウチ、これするわ」
スイカバーやフラペチーノなどがプリントされたミニ浴衣を、メルはチョイスする。
「お前のセンス、独特だな」
「一目惚れしたわ。だって、夏って感じだろ?」
「たしかに。ワタシはもっと地味なの選ぼっと」
「これなんてどうだ? ショコラ柄だってよ」
「いや全体がキャラメルカラーって、難易度が高すぎっしょ」
いくらワタシの背が高いからと言って、さすがに大人びすぎていた。
「お前タッパあるんだから、いけるいける」
「ムリ。ちょっとこれは」
「じゃあ、これなんてどうだ?」
よくあるタイプの淡いピンクの浴衣だ。
「これにな。コイツを付けてみると」
メルが用意してくれたのは、帯紐だった。
真ん中に四角くて、茶色い帯飾りが。
よく見ると、キャラメルみたいな感じである。
「おお! これぞ、キャラメルリボン!」
「どうよ。さっき食ったアイスみたいな柄だろ?」
「うんうん。これ買うわ!」
これなら、ワタシでも似合うかも。
「ウチらの縁を、帯が結んだな」
「ウマいこと言ったと思うなよー」
「次は水着だな。ブラウンの紐ビキニいくぞ」
「ムリムリムリ……」
そのキャラメルリボンは、いらんわ。
最初のコメントを投稿しよう!