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「そ、そっか…
そうだよね。
金星で生まれて育ったなら、今、地球に住んでても金星人だよね。」
私は、アーロンの言葉を復唱しながら、ひきつった笑いを浮かべた。
「良かった。遥ならきっとわかってくれると思ってた。
今月で、地球での任務がちょうど100年になってね。それで、帰還を許されたんだ。」
(100年…?)
「アーロン…100年って…あなた100歳ってことなの!?」
言った後で、おかしな質問をしてしまったことに気が付いた。
そんなはずがない。
今、私の目の前にいるアーロンは、28歳そのものの若者だもの。
100歳だったら、どう考えてもおじいちゃんだ。いや、生きてるだけでもびっくりだよ。
「遥…そんなわけないじゃない。」
アーロンは肩を揺らして笑ってる。
だよね、だよね。
アーロンが100歳のはずがないよね。
「僕が任務に就いたのは132歳の時だから、今は232歳だよ。」
「そっか…23…2…
な、なんですと~!?」
ますますわけがわからない。
アーロンは一体何を言ってるの?
「地球人と比べて金星人は寿命が長いんだ。
でも、急にそんなこと言ったら驚かれるだろうし、年寄りだって思われるかもしれない。
だから、君には200歳ほどサバを読んで伝えた…」
200歳って、サバを読むにも程がある!
って、そうじゃなくて…何がなんだか、もはや私は混乱し過ぎて、ショート寸前になっていた。
「あ…あの、アーロン…
あなた、一体、何者…なの?」
「だから、金星人だって言ったじゃない。」
「任務って…も、も、もしかして、地球を征服しに…」
「ない、ない。
僕らは好戦的な種族でもないし、地球には大昔から調査に来てるだけだよ。
地球の成長を見守ってるっていうか…ま、そんな感じかな。」
「そ、そうなんだ。」
ここで安心するのもおかしいけど…確かに、アーロンは人間だけじゃなく、動物や植物に対しても優しい人だもん。
今の言葉も嘘だとは思えない。
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