【4P】告白

3/4
前へ
/4ページ
次へ
「そ、そっか… そうだよね。 金星で生まれて育ったなら、今、地球に住んでても金星人だよね。」 私は、アーロンの言葉を復唱しながら、ひきつった笑いを浮かべた。 「良かった。遥ならきっとわかってくれると思ってた。 今月で、地球での任務がちょうど100年になってね。それで、帰還を許されたんだ。」 (100年…?) 「アーロン…100年って…あなた100歳ってことなの!?」 言った後で、おかしな質問をしてしまったことに気が付いた。 そんなはずがない。 今、私の目の前にいるアーロンは、28歳そのものの若者だもの。 100歳だったら、どう考えてもおじいちゃんだ。いや、生きてるだけでもびっくりだよ。 「遥…そんなわけないじゃない。」 アーロンは肩を揺らして笑ってる。 だよね、だよね。 アーロンが100歳のはずがないよね。 「僕が任務に就いたのは132歳の時だから、今は232歳だよ。」 「そっか…23…2… な、なんですと~!?」 ますますわけがわからない。 アーロンは一体何を言ってるの? 「地球人と比べて金星人は寿命が長いんだ。 でも、急にそんなこと言ったら驚かれるだろうし、年寄りだって思われるかもしれない。 だから、君には200歳ほどサバを読んで伝えた…」 200歳って、サバを読むにも程がある! って、そうじゃなくて…何がなんだか、もはや私は混乱し過ぎて、ショート寸前になっていた。 「あ…あの、アーロン… あなた、一体、何者…なの?」 「だから、金星人だって言ったじゃない。」 「任務って…も、も、もしかして、地球を征服しに…」 「ない、ない。 僕らは好戦的な種族でもないし、地球には大昔から調査に来てるだけだよ。 地球の成長を見守ってるっていうか…ま、そんな感じかな。」 「そ、そうなんだ。」 ここで安心するのもおかしいけど…確かに、アーロンは人間だけじゃなく、動物や植物に対しても優しい人だもん。 今の言葉も嘘だとは思えない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加