1、冷徹な皇帝陛下の側妃になりました

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 皇帝ヴァルクに初めて謁見し、その風格にイレーナは圧倒された。  長身でかつ鍛えられた身体、鋭い目つき、冷たい表情。  そして、臣下に対する冷たい口調。  噂どおりの男だったのである。  逆らえばすぐさま首が飛ぶことだろう。  周囲の人間も怯えているようだ。  イレーナは緊張ぎみに皇帝の顔を見つめる。  正直もう逃げ出したいくらい恐ろしい。 「公女イレーナ。お前は本日から俺の2番目の妻だ。自覚を持って行動せよ」  ずっしりと胸に響く低い声。  答えを間違えれば即処刑されそうな雰囲気だ。  しかし大丈夫。  イレーナはこの日のために何度も練習をしておいた。 「皇帝陛下のお心のままに」  イレーナは挨拶(カーテシー)をおこない、深く頭を下げて言った。  つまり、すべてヴァルクの命令どおりに動くという意味である。  イレーナは自分が人質であることを自覚している。  だから、ヴァルクに何をされても背くことはできない。
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