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鳴海恵子(さとこ)という人間は、決してオレだけではない対する人間の大部分に、損害を被っている感覚を覚えさせているに違いない。
僭越ながら代表して言わせていただくと、原因の一つはまず外見だ。見た目。見た目があまりにも子供じみているために、ヒトはこいつの世話をやかなくてはならない、手伝わなくてはならない、と思ってしまう。そこから、すべての失敗は始まっているのだろう。まったくもって凶悪だ。人生渡る上で基本的にズルをしている。
こんなのを相棒に仕事なんて羽目に陥るとは、オレの運気も最低ラインをさまよっているに決まってる。魔除けのお守り作ったろか、おい。
せっかくの連休。この行楽日和の風の中、子供の落書き以下の地図を解読できずに道に迷い、それは完璧に序の口で、この先もかなり決定的にろくなことがないなんて。
「オレ来た道戻ってる気ぃする」
「そいじゃぐるぐる回ってたんだね、しおやん」
「誰のせいだ」
「こっちであってるのかな。難しいんだけど。ちょっと地図見てみる?」
「地図読むの苦手なんすよね、オレ」
「うわ、感じわる。言うかな、そういうこと。しつこい男って嫌われるよ」
「寄越せっつの」
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