森にくまさん

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「進藤って言ったら、世界ランキングにも登場するくらいの大富豪だろう。ザイバツ。いわゆる」 「へぇ。お金持ちなんだー」  あえて避けた単語だったのに、ものすごい子供らしく言い放たれ、空しい気持ちになった。恵子ちゃんに説明するには、その程度で良かったということか。 「依頼人は?」 「私は峰丘さんって人と話をしたんだけど、一応、タクミ様ってところで。様ってことは、峰丘さんよりも偉い人だよね」 「進藤良水か」 「なんで知ってるのー?」  いやこれ、フツウ。 「進藤のトップ」 「トップ」 「総帥ってコト」 「それ、偉すぎる人だよね」  そうだね、一番偉い人だね。わかるかなぁ、恵子ちゃん。  口には出さなかったはずだが、まんまとどつかれた。こういうのは本能から来る動きだ。その証拠にやたらと素早い。 「そんなにすごい人相手なんだったら、制服で来れば良かったかな」 「良水様のご学友なんだったら、あのブルジョワな制服、用意してくれても良かったのに。オレ、絶対似合ったと思うわ」 「なんでそんなん着るの、自分のでいいんだよ、ただの正装なんだから。すぐヒトのもの羨ましがるけど、ん、あれ? ご学友? って?」 「良水様って高校生。学校なんて今さら必要ないレベルだって話だけどな」 「えぇっ?」
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