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クリスマスまで
しばらくすると、「響?」と声を掛けられてゆっくりと目を開けた。
そこには腰にタオルを巻いただけの桃香先輩が立っていて、「着替え、頼んだから」と言って、未だに力の入りきれない俺を抱き起こした。
引きずられるようにして脱衣所に連れて行かれて、ずぶ濡れのボレロとドレスを脱がされた。バスタオルを腰に巻いて頭からすっぽりとかぶる。
大浴場には大量のバスタオルが常に用意してあって、使用済みを戻しておけばいいシステムになっている。
脱衣所の端に置かれた長椅子に横になっている間に、桃香先輩は忙しく動き回っていた。
湯船に浮かんだ毛を片付けていたようだ。
『バタンッ』
激しくドアが開かれたと同時に、「とうがぁぁあっ」と叫び声が聞こえた。
ビックリして起き上がると、かなり怒っている相良先輩と末長が入って来た。
「比嘉っ。お前等いい加減にしろよっ」
「えっ……す、すいません」
咄嗟に謝ったが、相良先輩はすぐに踵を返すと浴場の方へ行ってしまった。
「比嘉君。着替え」
末長はビニールに入れられた真新しい下着と一緒に赤い塊を渡してきた。
「なにこれ……」
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