クリスマス

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 桃香先輩はすごく嬉しそうに笑うと、「響も食べるよね?」と言いながらテーブルに箱を置いて簡易キッチンに向かって行った。  俺はテーブルの上に箱から出したケーキを並べて、桃香先輩の持って帰ってきた白い袋を床に動かした。  中に何か入っている。 「先輩? これ、何が入ってるんですか?」  芳ばしいコーヒーの香りを漂わせてカップを持ってきた先輩は、「貸して」と言って袋を受け取った。 「響にあげる」  白い袋から取り出したのは、俺の持って帰ってきた白い箱と同じもの。  そっと箱を受け取ってテーブルに置くと蓋を開けた。 「…………こんなに食べきれないですよ」  出てきたのは小ぶりのホールケーキ。イチゴが大量に乗っていて、中央にはマジパンで作られたサンタクロースと家が乗っていた。 「響って、講堂に最後までいたんだよね?」 「ええ。いましたよ。片付けも参加しましたよ」  桃香先輩はため息を吐くと、「また聞いてなかったの?」と首を傾げる。 「何をですか?」 「このケーキ。俺の賞品だったんだけど」 「え?」  賞品? 首を傾げてから気がついた。
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