クリスマス

4/4
前へ
/193ページ
次へ
「えっ先輩優勝だったんですか?」 「いまさらだよね」  苦笑いでソファーに座ると、「恋人と食べるためにもらったのに」と先に座った俺の肩に顎を置いて低い掠れた声でしゃべった。 「……それ、講堂で言って無いですよね?」  片付けの時には何も言われなかったし、周りも普通だった。そんなことを桃香先輩が言っていたら大騒ぎになっているはずだ。 「言って無いよ。響がしゃべるなって言ったから」 「…………うん」  まあ、そういう事は人前で言わないでと言っていたから、守ってくれたんだろう。  耳元でしゃべるから、身を屈めて後ずさる。 「こんなに食べれます? 俺、1個が限界ですよ」 「それも、講堂で話したと思うんだけど」  後ずさる俺に近づいて顎を乗せようとするから、さらに下がるけど、限界はすぐにやってきて、先輩に袖を引かれて逃げられないように腕を回されてしまった。 「何を……」 「休みの予定」 「……俺の?」 「そう」  意地悪く笑って、「とりあえず、ケーキ食べてからね」と言った。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加