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「えっ先輩優勝だったんですか?」
「いまさらだよね」
苦笑いでソファーに座ると、「恋人と食べるためにもらったのに」と先に座った俺の肩に顎を置いて低い掠れた声でしゃべった。
「……それ、講堂で言って無いですよね?」
片付けの時には何も言われなかったし、周りも普通だった。そんなことを桃香先輩が言っていたら大騒ぎになっているはずだ。
「言って無いよ。響がしゃべるなって言ったから」
「…………うん」
まあ、そういう事は人前で言わないでと言っていたから、守ってくれたんだろう。
耳元でしゃべるから、身を屈めて後ずさる。
「こんなに食べれます? 俺、1個が限界ですよ」
「それも、講堂で話したと思うんだけど」
後ずさる俺に近づいて顎を乗せようとするから、さらに下がるけど、限界はすぐにやってきて、先輩に袖を引かれて逃げられないように腕を回されてしまった。
「何を……」
「休みの予定」
「……俺の?」
「そう」
意地悪く笑って、「とりあえず、ケーキ食べてからね」と言った。
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