永い、道

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「まだ決心しない?」  金色の長い髪を揺らし、色白の美少女が私に問いかけた。彼女の顔には、からかうような笑みが浮かんでいるが、目は笑っていない。  だから私も、会うたびに問われるこの言葉を、軽くあしらうことをしない。 「決心もなにも、前からお伝えしている通り、不老不死なんてご免です」  金髪の美少女、名前はマリアは、引き下がらない。 「なかなか楽しいわよ?ながぁーい目で、世界が変わる姿を見ることができるのよ?魅力的でしょう?」 「その魅力と天秤にかけても、ほどほどの長生きで私は十分です」 「欲がないのね」 「欲なんですか、長生きするのって」 「古今東西、少なくない人間が不老不死を望み、それを求めて心血を注ぎはかなく散っている。欲以外のなにものでもないわね」  マリアは少し皮肉を滲ませて言った。  マリアのその口調と表情を見ていると、彼女が望んで今の状態にいるわけではないことが推測できる。それでも私を誘う理由が、相変わらずわからない。 「もーマリアーぁ、気が済んだでしょう。この()はこっちに来る気がないんだから、諦めなよ」 「千夜子」
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