感謝の念と形而下経験値活用

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感謝の念と形而下経験値活用

1ea3ec65-73f6-4d28-bd96-55d639eb1a8a だけど前世での人生の経験と擦り合わせるに 「愛されない」 事は自分ではどうしようもなかったけど… 「感謝しない」 状態は自分自身で変えられた。 少なくとも前世では変えられた。 今回も 「感謝しない」 を 「感謝する」 に変える事で経験値活用要素を得られる可能性が高い。 ただ、それには 「世の中に存在する善意を感じ取る」 必要がある。 法律書を読んでみて 「こういう問題が起きて、こういう風に苦しんで揉めて、その解決としてこういう法律ができた」 などといった善意による立法の痕跡に触れると… 社会内のセーフティーネットの存在が有り難く感じられたものだった。 そこにはーー 苦しめられた人達が 「他の連中も同じように苦しめ!」 と望む代わりに 「同じように苦しむ人達が今後生み出されずに済むように」 と望んだ善意の痕跡があった。 その結果としての福祉概念に基づく立法。セーフティーネット。 それらの物事の関連と道理を 意識が丁寧に読み取った時に起こる 感謝の念…。 【何事のおわしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる】 そう悟った時に そう感謝した時に 自分の中に蓄積していたものが 一気に建設的方向性を持って動き出した。 あの感覚ーー。 アレをこの世界でも喚起できれば 形而下経験値を使ってステータス強化を図るのも可能だと思うのだ。 だけど、法律書を読もうにも… この屋敷の本はほぼ父の書斎にしかない。 使い古された子供の読み書き用の学習書だけ私の手元にある。 姉達のお下がりの一つだ。 お茶会にお呼ばれするような友達もおらず 何かしたくても先立つものもなく 読み書き用の学習書を網膜に焼き付けるように見入っては 小型の携帯型黒板へとチョークでそっくりに写し取る。 その繰り返し…。 お陰で絵が上手くなったと思う。 「字」ではなく「絵」がだ。 「模写能力の高さ」が私の唯一の取り柄なのかも知れない。 (図書館に行きたいな…) と思う。 王都内には国立図書館がある筈なので、馬車を使わせてもらえて入館料を出してもらえるなら通う事はできた筈だが… 私には一切カネをかけないと決めている両親がそんな事をさせてくれる筈もなかった。 私は現状、無知だ…。 イジメ地獄が待ってのかも知れない学園生活…。 唯一の楽しみとなり得るのが学園内に図書室があり、寮にも寮生の共有スペースに寄付された本があるらしい事。 (法律書とか植物図鑑とかが有ると良いなぁ…) と微かな望みを未来に託す事にする…。 ****************** 魔法と関係ありそうなステータス数値を見ても分かるように 私はおそらく魔法と相性が良い。 魔力:16/16 器用度:12 知能:18 精神力:24 魔法適性度:88 これらの私の数値は屋敷内の使用人達の数値と比較しても高い方だった。 大人の使用人達を鑑定してステータスを覗き見して回ると… 生命力の数値は年齢と関係がありそうだった。 他はまちまち。 平均を割り出すには振れ幅が随分と大きい…。 体力の数値が10〜40くらい。 知能と精神力は5〜20程度。 魔力と器用度は0〜5程度。 魔法適性度は0〜10といった数値。 生粋の平民使用人は魔力と魔法適性度が0の人達。 貴族家出自の平民使用人は魔力があっても魔法適性度が0。 どうやら魔力があっても魔法適性度が0だと魔法は使えない。 私は生命力が年齢通りで体力が低め。 ろくに食事も与えられずに放置されてきたから 仕方ないと言えば仕方ないのかも知れない。 寮に入って 無料の食事を食べて 栄養を摂れば そのうち丈夫になれるに違いない、と思う事にする。 因みに自分以外の人達の経験値は、ただ「経験値」とだけ表示されている。 おそらくは私にとっての「形而下経験値」が他の人達の「経験値」なのだと思う。 独断と偏見による分析ではあるが 「他人と積極的に関わるタイプの人→経験値が低くステータス値が高い→レベルやいずれかの項目にプラス反映して使用されている」 「他人と積極的に関わらないタイプの人→経験値が高くステータス値が低い→レベルやいずれかの項目にプラス反映する使用が起きにくい」 という傾向があるように思えた。 字も読めない人達だと直接的に接する人間だけが「人間社会」の全てになりやすいので、対人関係に恵まれないと経験値変換が起きにくいのだと思う。 私も前世では 「読書が趣味」 になる前はそうだった。 世の中に感謝しようにも 他人に感謝しようにも 意地悪な人達に囲い込まれて萎縮させられれば 狭い世界で生きる事になり、感謝のしようもない。 読書は人を 「声に出されない、口に出されない心の世界」 へと誘う。 ーー読む人の心に感謝の念を呼び覚ます本ーー それこそが地球世界における【魔法書】に該当していたのだと 今なら分かる…。
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