優しい虐待と痛い虐待

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優しい虐待と痛い虐待

男の子が産まれ「ディートフリート」と名付けられた。 愛称として「フリーダー」と呼んだり 紫丁香花(フリーダー)の連想から「リラ」と呼んだりしている。 鑑定すると治癒魔法の適性と土魔法の適性があり従魔術のスキルもある。 「ホント私達の子だなぁ」 と感じる。 「我が子が産まれても愛してあげられないかも知れない」 と感じていた不安は… 地球世界に対して感じていた 「愛せない」 という想いが 「愛せなかった、愛したかった」 という想いへ変わった事で霧散したようだった。 と同時にーー その時に、また 大量の形而上経験値が形而下経験値へと変換されていた。 そこで (もしかしたらーー) と思うのは 「前世の私は人々の本心を知らないままだった」 と気が付いた。 ヒルデブレヒトの言っていたように 言葉や態度が本心ではない場合もあるのだろう。 「憎んでいるフリをして、見捨て、切り捨てているフリをして、生き延びさせようとする」 ような善意が何処かに存在していたのかも知れない。 「善意を向けられる」 というだけではなく 「善意に気づき、その善意を受け入れる」 という事で変換が起きるのかも知れない。 他人の中にある心の真実なんて見えない。 当人自身ですら自分の心の真実に気付いていない場合もあるだろうし それを当人以外の人間が知るのは困難だ。 それでもその困難さが克服されて 隠されていた人間の心の真実が顕れた時 地に潜っていた使用不可の力が使用可能状態になり 浮かび上がってくるのだと思う…。 「リラは本当に可愛いなぁ…。男の子なのにママに似て可愛いし、パパは今からリラの将来が心配だよ…」 とディートリヒがデレデレに緩んだ顔でリラの手を頬擦りする。 するとリラが泣き出したので 「お髭がチクチクして痛いんだと思う。正直、私も『痛いな』って思う事もあるし、赤ちゃんは肌が敏感だから余計に嫌がると思うよ?」 と教えてあげたらディートリヒにショックな顔をされた。 すぐさまディートリヒが洗面台を前にして長年生やしてきてた髭を剃ったのは言うまでもない…。 f0b0361f-dc09-44ac-9c40-5cdd8c049725童顔なせいで若い頃にナメられて商売面でも苦労させられたらしい。 今は36歳、じきに37になるし、若いとナメられる心配もない気がするのでわざわざ髭を生やしておく必要性がない。 髭を落とすとマイナス10歳は若く見えるし甘いマスクが際立つ。 心配なのは仕入れた女の奴隷が変に媚びを売って来ないかという所だと思う。 「パパが若く見えてカッコイイ方がうれちいでちゅよねぇ〜」 と訊くとリラがキャッキャと笑う。 (可愛いなぁ…) と、しみじみ思う。 でも (甘やかしたくない) とも思う。 「私は子供をペットみたいに育てたくないし、自分自身もペットみたいに甘やかされたくないんだ。 ゴメンね。リラがもしも『ペットみたいに甘やかされて育てられたい』と思ってるようなおバカさんなら、貴方は私の子供に産まれた事を後悔してしまうかも知れないけど。 でも私は貴方の願いを尊重して貴方の魂を堕落させるような事はしてあげられないんだ…」 私がそう話しかけてもリラは全く意味が分かってないように、ヨダレを垂らして無邪気に手を伸ばしてくる。 (オッパイが欲しいんだね…) と判るので母乳を与える。 ****************** 子供を甘やかして社会適応を歪める優しい虐待も 子供を厳しく罰し続けて社会適応を歪める痛い虐待も 共に 「そうした接し方が当人にどんな影響を与えてしまうのか」 という側面での無責任があると思う。 そういう意味で 「虐待とは望ましい未来へと向かわせる指針の欠如だ」 と判る。 そしてそういった指針の欠如は何も直接的に関わる親や教師のみに言える事ではない。 地球世界では 「その程度のことの何が虐待なの?」 と思わざるを得ないような程度のことを 「虐待だ!」 と大騒ぎして 「子供を被害者意識へ釣る精神誘導」 が溢れていた。 「思い通りになってくれない親や教師を虐待者だと冤罪捏造して名誉毀損・信用毀損する境界性人格障害者」 そんな地雷な子供の量産が促される社会的価値観誘導。 そういうものを溢れさせて回っていた自称リベラルなマインドウィルス感染媒介者(キャリアー)らの罪…。 いわゆる 「マイノリティー憑依」 という問題。 つまりは 「マジョリティー待遇で伸び伸び暮らしているくせに『被害者ぶって賠償要求意識を振り翳せば得できる』という欲に堕ちている連中は『気持ちだけマイノリティー気分になり被害妄想を拗らせる』という自己憐憫・自己美化状態に陥りやすい」 問題。 諜報工作は何も 「アンチ権力の情報を抜く」 というだけではない。 「アンチ権力の(対立国の)内部に『内側から社会の足を引っ張る狂人を量産』してやるなり、送り込むなりして、内側から蝕ませ壊していく」 ような婉曲攻撃なども普通に誘導されていた。 「マイノリティー憑依」 のような 「優しい虐待の大絶賛推進による狂人量産化工作」 も普通に行われていて 「諜報工作という精神汚染をレジストする必要性」 を何も理解出来てない精神的無防備な人達を大量に狂人化させていた。 麻薬や覚醒剤同様に 「リベラル(左翼)思想」 というマインドウィルスも 「酔ってる間、(キメてる間)」 えも言われぬ自己陶酔を引き起こすものらしい…。 ブライトナー公爵派の皆の良い所は、そういった 「人間をダメにするモノ」 をちゃんと把握していて 「自分達が汚染されないように」 矜持を持って、それらを適量・適所に応用している所だと思う。 地球世界の権力が世界全体が鬼畜仕様だったのは… あの世界の上流層の人達が人間をダメにするモノに関して 「それは人間をダメにするモノだ」 と理解出来ていなかったからなのかも知れない。 「優しい虐待の大絶賛推進による狂人量産化工作」 で大量に創り出された 「マイノリティ憑依状態の人格障害者の群れ」。 正気の誠実な者達を振り回し超過搾取し鬱地獄へ落とす社会ーー。 …私は優しい虐待も痛い虐待もしたくない。 それでも多分 この世界でも優しい虐待や痛い虐待は 世の中のアチコチで生み出され続けている。 そこには苦しみが欺瞞が生み出され続けている。 私にできる事は限られている。 それでも完全に無力という訳じゃない…。 善意をもって見詰め 善意をもって共鳴し 善意をもって見送ることで 「ただ苦しんだだけでは終わらない」 「ただ苦しめただけでは終わらせない」 錬金術的変化をーー 自分自身の魂に起きた変化をーー 次なる者へと引き継ぐ事が出来るかも知れない。 それが 「二度と味わいたくない」 ような苦痛と孤独だったとしても それを越えた先にある 自己修復力や形状記憶復元力は 「知的整合性に基づく任意の現実創造力」 として自分自身や自分の周りの場に影響し得る。 自己修復力や形状記憶復元力によって 過ぎ去った世界の中に在った 優しいもの 美しいもの 再び蘇って欲しいもの 再び在って欲しいもの 永遠に蘇り続けて欲しいもの 永遠に在り続けて欲しいもの それらを復元し創造できる。 その力は決して無駄にはならないーー。 不条理体験は無駄にはならない。 苦しみは無駄にはならない。 何処にも結び付かない認知的不協和では終わらない。 だけど陰湿な強者が社会的アドバンテージを独占してる社会では 不条理体験は無駄 苦しみは無駄 何処にも結び付かない認知的不協和だと思い込まされる…。 「社会的弱者は経済的に劣るだけでなく創造力も認識力も劣り全てにおいて役立たずである」 と思い込まされる…。 基本的にイジメの根源には 「自分の居場所が奪われるかも知れない」 という 「居場所を脅かされる不安」 が転嫁された情動がある。 イジメ殺しや 恨みによる報復 そういう我執にまみれた 「悪因縁」 が生じた場や 「悪因縁」 に関わった者達は 「悪因縁の復元作用」 をその存在性の作用の中に宿してしまう。 現象遺伝子ーー もしくは運命(シナリオ)とでも呼ぶべきもの。 それらは病原が感染を繰り返しながら 毒性を強める変異を起こす事もあれば 病原が感染を繰り返しながら 毒性を弱める変異を起こす事もあるように 凶相が強める変異を起こす事もあれば 凶相が弱める変異を起こす事もある。 いつかーー 自分自身の不幸が「既に何処かで起きた不幸な運命の再現なのだ」と気が付いて 凶相の毒性の弱毒化、無難化が進んだ時にやっと 「目的が達成された」 と発見できるのだと思う…。 「お前は無力だ」 と思い込まされ続けた暗示の殻を破って 搾取され続けた現実創造力を自分自身の内に取り戻せる…。 mement mori (死を心に留めよ) mement vivere (生を心に留めよ)
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