下手に出ても誰も絆されないというシビアな現実

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下手に出ても誰も絆されないというシビアな現実

457b57a2-b97e-40e7-bc1c-114f2c00f1ea …前々から思ってはいた。 日本文化の「謙譲の美徳」は「世界には全く理解されてない」のだと。 日本人は詰んだ民族なのだと…。 ーー目が覚めて 全く違う環境と 全く違う肉体とに驚いた。 (…これはもしや…) と、恐る恐る鏡を覗いてみて (…そうか、これが流行りの異世界転生というヤツか…) と呑み込むのに、さほど時間は要らなかった。 そんな風に直ぐに状況を仮定的に認識できたのはーー 日本のサブカル界が「異世界転生」のようなキワモノネタを普通に許容するくらいに懐が深かったお陰もあるのだろう。 脳内では様々な異世界転生モノのラノベが走馬灯のように思い起こされた。 ただ、まぁ…。 質の良い家具とは不釣り合いの埃の積もった不潔な部屋を目にした事で (楽は出来なさそうだ…) と、すぐに分かった。 と同時に 「この世界でのペトロネラ・ローゼンハイムとしてのこれまでの人生の記憶」 も明瞭に脳内喚起されたので (…なるほど) と、自分の環境の中での自分の立ち位置は理解できた。 「『悪役』に見立てられる嫌われ者の弱者」…。 そういう役所が現実の人間社会では必ずといって良い程社会の片隅に生み出される…。 それこそ作り話における悪役の定番行動 「急に前世を思い出して人格改良する」 といった破滅フラグ回避のシナリオ改竄とか。 そういうのが必要なのかも知れない… と思う程には自分が恵まれない環境にいる事は分かった。 ****************** 異世界転生で貴族子女に転生した日本人は何故か 「屋敷内の使用人や領民に媚びて好かれておこう!」 という方向で動くパターンのラノベが多かった。 だけどそういう 「下手に出てあげる事で『良い貴族』という評価を得よう」 「『傲慢な悪い貴族』を批判して『良い貴族』ポジションを得よう」 「平民の不満と攻撃性の矛先を『傲慢な悪い貴族』へ向けさせよう」 という 「偽善的スケープゴート保身」 は実はかなり卑怯だと思う。 つまり 「『良い貴族』と平民の皆様とで『悪い貴族』を敵視し粛正しましょう」 という図式。 「『悪い貴族』を犠牲にして成り立つ仲良しこよしごっこ」 に周りを巻き込もうという事なのだから… 「自分が『悪い貴族』認定されて尚且つ味方が居ない」 ような場合には… 「自分が犠牲にされる事で自分以外の皆が仲良し」 みたいな状況にされてしまう…。 日本人以外の普通の国の人達ならばーー こうした社会内弱肉強食法則は普通に理解できる筈なのに… 不思議なくらいに日本人はそれを理解できてない人が多かった。 カルト洗脳されてるカルト信者さながらに 「身分の上下こそが悪の根源」 「封建制度こそが悪の根源」 のように思い込まされていた節がある。 だからこそ日本人の多くは 「庶民派のフリをして友達感覚で平民と接する貴族はノブレスオブリージュを放棄したいから腰の低いフリをする」 という心理の卑怯さを認識できない。 「友達のフリをするご主人様は『下僕にやらせた悪事の責任を下僕の自己責任に仕立てて切り捨てる』気満々だから、下僕に対しても友人ぶって『命令していない』と周囲に思わせる布石を用意周到に敷き詰める」 そういう手口の 「ノブレスオブリージュ無き友人ぶりっ子」 の卑怯さを… 意識に入れず 認識に入れず それでいて上手に模倣する。 「それが得な生き方だ」 と潜在的に思ってるから 日本人は馬鹿の一つ覚えのように 「外国人様にはとりあえずフレンドリーに偉ぶらずに居れば良い筈」 という思い込もうとする。 作り話の御都合主義の中だとーー そうした日本人気質の媚び売りは功を奏し 中身日本人の主人公は受け入れられ愛される事になるが… ただまぁ…リアルの国際社会では 「日本人マジョリティによる外国人様方への矜持なき媚び売り」 は世界的に不評だったのが現実だ。 日本人以外の人種には「謙譲の美徳」のような様式美は通用しない。 「とりあえず偉そうにしなければそれで無難に過ごせる筈」 という虚しいへりくだりは 「ノブレスオブリージュを放棄する意思表示だ」 と見做される。 それはおそらく 「本物の異世界でも似たようなものなのだろう」 と覚悟しておいた方が良いのかも知れない…。
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