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数年後、親友の公香が結婚した。
何をどう間違ってそうなったのか、あの正志とだ。
あいつだけはやめて欲しかったが、正志も、あれから更生したのか悪事だけは働いていないとみえる。
性格も穏やかになったようで、地元の仲間やその親たちからの評判も良いみたいだ。
それに公香をすごく大切にしてくれるから、文句をつけるのはやめてやろう。
あの『悪事』だけは、絶対公香には言わない。
ちゃんと墓場まで持ってってやる。
それが、私から二人への餞だ。
私は……
まだ道半ばだ。
将来の伴侶にもまだ出会えていないし、今のところ、究極の選択を迫られるような出来事にも遭っていない。
『未知』なんて自分の名前を、恨んだ事もある。前もって先が分かっていれば『転ばぬ先の杖』という安心材料があったのに、と。
今まで、様々な分かれ道に立たされた。
自分で選んだ時は、見事ハズレくじ、
選ぶ間もなく、何かに背中を蹴り飛ばされ否応なく進んだ道には、不運の神が微笑んでいて……。
そんな人生だった。
でも、生死に関わるような不運じゃなかっただけマシだ。
……とは言っても、母から譲り受けた鼻炎で、両鼻100%鼻詰まりの日が続いたり、
父から譲り受けた喘息で、酷い呼吸困難を起こし、死ぬ思いをした事もある。
でも、ちゃんと生きてる。
『戦う』 『逃げる』
『正直に言う』 『隠し通す』
『腐る』 『笑い飛ばす』
人生でもゲームでも、選択を迫られた時、人は迷う。
人生は、ゲームのように、『ゲームオーバー』になって、簡単に『リトライ』できるものではない。
その都度、反省して、考えて、
正解だってその都度違う。
難しい事を考えても仕方ない。
この先、進む道にまた困難が転がっていようとも、私なら大丈夫。
私はとにかく、今、自分の周りに居てくれる人達に感謝して、前を向いて歩いて行こう。
願わくば、これまでの不運を覆すぐらいの『当たりくじ』が舞い込んで来るようにと、祈りながら。
――了――
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