強奪のDNA

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強奪のDNA

 お婆さんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきた。  家へ持って帰り割ってみると、中から玉のような男の子。  お婆さんは腰を抜かした。 「おやまあ。桃太郎のときとそっくりだねえ」  お爺さんもたまげる。 「この子は桃太郎の息子にちがいない。桃次郎と名付けよう」  鬼退治に行った桃太郎は、その後女を作り、お爺さんとお婆さんの元から去っていった。  二人は思った。あの女との子だと。  桃次郎はすくすくと成長した。  大きくなったある日、桃次郎は二人に告げた。 「お爺さんお婆さん。僕はこれから、鬼ヶ島に渡って鬼退治をしてきます」  お爺さんが言った。 「桃次郎。それはおまえのお父さんがもうすでにやったことだ」  お婆さんも言った。 「おまえのお父さん、桃太郎は、宝をたくさん持ち帰り、私たちにも分け与えてくれたんだよ」 「なに?」桃次郎の眼が光った。「では、宝の一部はこの家に?」  お爺さんは頷く。 「そうだよ。一部といっても相当な量がある」  お婆さんは微笑んだ。 「おかげでわしら、楽して暮らせておるんじゃ」 「そうか」桃次郎はぺっぺっと手につばを吐きかけた。「この家にも宝があるのか。それじゃあーー」  桃次郎は刀を抜いた。 「手始めにまずおまえらをぶっ殺すか」
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