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数秒間目が合った後「ふん」と鼻から小さく息を吐いて鳴らし、子猫は向きを変え、細い路地に走って行ってしまった。
「お、喧嘩やな。しっかし、可愛かったねえ。この辺に住んでるのかな?覚えておこうっ」
陽茉莉の目はまだハートマークのようだ。
吸い込まれるように陽茉莉の目を見てしまい、慌てて逸らす。
しかし、何か引っかかる気がしてもう一度目を覗き込む。幼い頃から見慣れた瞳だ。形や色は変わらない。夕陽のせいで色合いはわかりにくいが、元々こんな感じだろう。
陽茉莉が気付いて目が合う。
「なに?勝手に見つめんといて」
べーっと舌を出してから笑う。
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