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美雷は周囲の被害状況を無視し、麗奈の元へと急ぎ寄った。彼女を引き起こしながら、「帰るよ」と声をかけた。意識が朦朧としている麗奈を支えつつ、会社へと足を進めていった。
麗奈の意識がしっかりしてきたのは、会社に着く少し前のことだった。防弾チョッキの機能を備えた隊服のおかげで、彼女の怪我はほとんどなかった。先程の戦い方が気に食わなかった麗奈は美雷を見上げ、強い口調で言った。「あの……なんであそこまで被害が出るような戦い方をするんですか?貴方のやり方は間違っています!もっと市民を優先にしてほしい。」彼女の言葉には怒りと悲しみが混ざっていた。美雷は少し驚いた様子で、麗奈を見た。
美雷は麗奈の言葉に対して冷静に反論した。「なんで?病魔さえ消せればいいでしょ。結果的に市民は助かってる、それの何がダメなのかしら?文句は私の役に立ってから受け付ける。それまでは私に従って」その言葉には強い自信が宿っていたが、麗奈はその裏に潜む闇を感じ取っていた。
会社に戻ると、まず全身の消毒を行うことになった。病魔と対峙した者は、必ず何らかのウイルスが体に付着している可能性があるからだ。隊服や滅器も同じように消毒される。消毒後は備え付けのシャワー室で汗を流す。麗奈は汗をかいていなかったが、浴びろと強めに美雷に言われ、渋々シャワーを浴びることにした。麗奈は更衣室で美雷の体をちらっと見て、「え……すごい」と思わず声を漏らしてしまった。美雷の引き締まった筋肉やスタイルに驚き、思わず目を奪われてしまった
そして何よりデカい。何がとは敢えて言わないが存在感はかなりあった。美雷は麗奈の身体を見て「もう少し痩せた方がいい」とライン越えの発言を言い放った。
恥ずかしさで顔を真っ赤にした麗奈は、逃げるようにシャワー室へと入っていった。シャワーを浴びながら気持ちを落ち着け、心の中で「痩せてやる」と決意を固めた。
シャワーを浴びた後、病魔滅菌に関する報告書を作成する。美雷は口頭で総務の人に報告していたが、
彼女は少し申し訳なさそうな表情を浮かべ、「あの子は例外だから、貴方はこのタブレットで報告書提出してね」と言った。麗奈が報告書の記入を行っていると、美雷が近寄ってきて「そこの滅菌の欄にイルネスって書いときな。私からの入社祝いだから」と言う。よく分からなかったがこちらが何か言う前に美雷はどこかへ行ってしまった。
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