8人が本棚に入れています
本棚に追加
メディカンには、製薬、システム、総務、営業、そして滅器製造の部署がある。それぞれの部署は特定の役割を持ち、連携しながら病魔滅菌に取り組んでいる。製薬は新薬の開発、システムはデータ管理や効率化、総務は組織運営、営業は製品の普及、滅器製造は必要な機器の開発と製造を担当している。これらの部署が一つになって、効果的な対策を講じているのだ。美雷の表向きの所属部署は営業だが、実際には病魔滅菌対策部に所属している。社内で知っているのは極一部である。麗奈は、強制的に病魔滅菌対策部に所属することになった。しかし、彼女は逃げたくはなく、美雷の元で働くことを選んだ。。しかし、すぐに彼女は「この時、断っておけばよかった」と強く後悔することになる。実際の業務は予想以上に激しく、波乱に満ちていた。
一日の流れは朝、オフィスに到着すると、すぐにパトロールのため外出する。周囲を巡回し、見つけた病魔を徹底的に殲滅していく。その後、通信部が業務を開始する九時三十分頃になると、対象の滅菌のため現場に向かう。
初日、麗奈は現場に向かう際、美雷が持つ「黄の力」の雷を使って移動することを知らなかった。美雷に腕を掴まれた瞬間、彼女は驚きと戸惑いを覚えた。その後、雷の力による高速移動が始まる。一瞬のうちに景色が流れ去り、麗奈はその圧倒的なスピードに飲み込まれてしまった。体がついていけず、現場に到着する頃には吐き気を催し、遂には嘔吐してしまう。美雷は、嘔吐している麗奈を見ても特に気にせず、さっさと病魔の滅菌作業に取り掛かっていた。それを昼まで繰り返していく。麗奈はそのペースに、必死に付いていくのが精一杯だった。
ちなみに色の力を引き出すには、滅器を所持している必要があるので、無闇に使用することは出来ない。昼休憩の後も、麗奈は美雷と共に同じ作業を繰り返し、滅菌作業は出勤してから7時間にわたって続いた。彼女は疲労を感じながらも、必死に美雷の後に続いた。作業が無事に終了すると、二人はオフィスに戻り、報告書作成に取り掛かる。
美雷は、今日の滅菌結果を報告する際、シックネス58体、イルネス7体という驚異的な数字を叩き出した。報酬は12万8000円。今の時期は忙しい。4月から6月、11月から3月は病魔が特に多く、繁忙期に入る。
最初のコメントを投稿しよう!