入社式

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「やっと来たか美雷!今日から最強は俺だ!」 前方から雷十が大きな声を上げながら近づいてきた。その手には威圧感のある大剣が握られ、周囲の雰囲気が一瞬緊張に包まれる。彼の後ろには、麗奈の同級生がいた。その人物は麗奈と視線が合うと、いやらしく微笑んだ。 「あら、落ちこぼれの麗奈ちゃんじゃない。諦めてなかったんだ、滅菌者になるの」 麗奈は視線を落とし、心の中に重苦しい思いが広がった。一番会いたくない人、青井瑞葉が近くにいる。彼女は実力があり、Aランクの資格を持つ正真正銘の天才で、周囲からの期待が厚い。 「話は終わった?」 美雷が麗奈に声をかける。麗奈は静かに頷き、再び小刀を握り締める。その様子を見た美雷は麗奈の頭に手を置いて静かに言う。 「実戦じゃないし、相手にすることは無い。私の後ろに居てよく見ておけ、口だけの人間がいかに愚かなのかを」 意外な言葉に驚いたが、何故か凄く安心した。 模擬戦 美雷・麗奈VS雷十・瑞葉 ルールは降参及び意識を失ったと判断された場合決着となる。 「去年を思い出すぜ……白のエリートの俺が黒のお前に負けたあの日をな」 色 この世界では、一人一人が独自の色を持ち、それが彼らの個性や能力を象徴している。基本色として赤、青、黄、緑、茶、白、黒の七色があり、それぞれが特別な意味を持っている。赤は熱や炎、青は冷気や水といった色に関連する力が与えられる。 親が赤と青の場合、子どもは赤と青以外にも、紫という新たな色を持って生まれる可能性がある。 しかし、色が混ざり合ったからといって、自動的に強くなるわけではない。実力や強さは、努力や経験に大きく依存している。どんな色を持っていても、それをどう活かすかが重要であり、日々の鍛錬や学びによって成長していくことが求められる。 この世界において、白と黒は特別である。白は、両親がともに白でなければ産まれることはなく、そのため非常に希少な存在となっている。 一方、黒は後天性の色であり、特定の条件や経験を経て、誰もが持つ可能性がある。 「井の中の蛙だったってことでしょ。さっさとかかってきなさい、私は貴方に構っている暇はない」 模擬戦開始の鐘が鳴り、美雷と雷十がぶつかり合う。雷十の大剣を日本刀で受け止める美雷。美雷は、雷十の大剣を受け止めたまま、瞬時にバランスを崩さず、反撃の体勢に入る。彼女の眼差しは鋭く、次の動きを見定める。瑞葉の水玉が迫る中、彼女は一瞬の隙を突いて大剣を押し返し、攻撃の流れを変える。 「二対一は流石にきついか!でもこれがルールだ!本気で行くぜ、白雷!」 白い雷を纏い、突進する雷十。
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