入社式

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「貴様は私の逆鱗に触れた。1、女を見下す発言。2、度重なる挑発及び嫌がらせ。3、負けを認めない脆弱さ」 美雷の体から漆黒の雷が迸り、周囲の空気が一変した。彼女の内に渦巻く怒りや憎悪が、まるで生き物のように彼女を支配し、力を与えた。その異様な光景に麗奈は恐怖を覚え、ついにその場で膝をつき、吐き気を催してしまった。 「白を持つ者に私の黒は刺激が強すぎる。だからすぐに終わらせてやる。止められる前にな」 雷十が冷静さを取り戻し、美雷に向かって叫んだ。「やめろ、美雷!俺が死んじまう!」しかし、彼女の怒りは全く収まらない。漆黒の雷は彼女の体からさらに迸り、天へと昇り、周囲の空気が緊張感に包まれていく。 模擬戦室が不穏な雰囲気に包まれ、他の社員たちも異変に気づき始めた。穂乃香をはじめとする役職持ちの面々が、状況を把握するために集結してきた。彼らの表情は真剣そのもので、場の緊迫感がさらに高まった。 「美雷、やめなさい!貴方が本気出したら会社の被害が尋常じゃないのよ!?」 穂乃香を無視し、美雷は刀を掲げ、「黒霆!」と言う。その瞬間、漆黒の雷が天から降り注ぎ、周囲の空気が震えた。強大なエネルギーが室内を貫通し、壁が揺れるほどの衝撃が走った。 床に開いた穴の底で、雷十が大怪我を負って伸びていた。その姿を見た麗奈は、恐怖と衝撃で体が硬直した。美雷の一撃がもたらした破壊は、彼女の心の闇の深さを物語っていた。 これが麗奈が見た最初の美雷の本気。そしてここから物語が動き出す。
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