異界迷宮

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 日がとっぷりと落ちた町を、一台のバスが走っていた。  乗客は少ない。  20代前半ぐらいの女性が二人と、70歳ぐらいの男性が一人だけだ。バスの中は薄暗くて静かだ。  運転席近くに、一人の少年が座っていた。  年齢は15歳から17歳の間といったところだろうか。  まだ幼さが残っていて、顔つきもどこかあどけない。髪の毛は長くもなく短くもない。黒髪だが、やや茶褐色に近い色合いをしている。  前髪を少し長くして、目にかからないようにしていた。  服装は地味な紺色のブレザーにズボンという格好だ。あまり洒落っ気はない。  少年の名前を加納健一と言った。  健一の視線は窓の外に向けられていた。  バスの前方では街路樹が次々と通り過ぎていく。道路脇にある歩道の街灯が、チカチカと点滅している。そのせいもあってか、いつもより暗い夜に見える。  健一はぼんやりとした様子で、移り行く景色を見つめ続けていた。  毎日の繰り返しだった。  学校へ行って勉強して、家に帰る。  そして、テレビを見たり本を読んだりする。それが健一の日常だった。特に面白いこともなければ退屈なこともなかった。  いや、退屈でつまらない生活だと思った。  ただ淡々と時間が過ぎていき、今日もまた一日が終わったということだけを感じる日々。  そんな生活に不満があったわけではない。ただ漠然とした虚しさを感じていたのだ。  だからだろう――健一はふと思った。  もしも違う世界に行くことができたら……と。  それは非現実的な考えかもしれない。  だが、今の自分には何もないと思うと、つい想像してしまうのだ。  もし自分が異世界に行けたらどうなるんだろう? そこで自分とは違う人生を歩めたなら、どんなに素晴らしいことだろうと。  やがて健一は自分が降りるバス停に到着する。  彼は席を立ち上がって運転手に通学定期券を示そうとしたのだが、ちょうどその時になって財布を忘れたことに気づいた。 「ごめんなさい。定期券と財布を学校に忘れてしまったみたいなんです」  健一は慌てて運転手に言った。  すると運転手は怪しむような顔を向けてきた。  しかし、すぐに笑顔に戻るとこう答えてくる。 「仕方ないね。君の顔は覚えているよ。明日もこの時間に学校から帰るんだろ?」  健一はうなずいてみせた。  すると運転手は快く運賃を受け取らずにいてくれた。  健一は礼を言ってからバスを降りていった。  それからしばらく歩いていくと、一軒のコンビニが見えてきた。  家までの通り道にある店なので、健一はよく利用しているが立ち寄る用事は無いので通り過ぎる。  通り過ぎた瞬間、明かりが消えた。  コンビニの照明が消えてしまい、真っ暗になっていた。  健一は足を止めて振り返る。  何が起こったのか理解できなかったからだ。  店内からは店員の声らしきものが聞こえてきたが、何を言っているのかまでは分からない。  見れば街灯も消えており、その場から見える家々にも明かりは無くなっていた。  まるで夜という世界に飲み込まれただと、健一は思った。 「停電かな……」  健一は呟きながら空を見上げる。  しかし、そこには星一つ見えない暗闇が広がっていた。  普段通り慣れた道なので、健一は迷わずに歩く。  だが、妙に静かで人の気配を感じなかった。  聞こえるのは自分の息遣いだけだ。  健一は不安になりながらも歩き続ける。  どこを歩いているのかさっぱり分からなかったが、それでも彼はひたすら真っ直ぐに進んでいく。  ふと足元の感覚がおかしいことに気がついた。  硬いアスファルトであることに違和感は無いのだが、起伏が激しいのだ。  しかも左右や上下が歪んで見えている気がする。  それに空気もどこか生温かく感じられた。  健一は何が起こっているのだろうかと思いつつも、歩みを止めることはなかった。  光が前方に見えたのだ。  その光に誘われるように彼はそちらに向かって進む。  やがて健一は、目の前に広がる光景を見て驚いた。  そこは石造りの壁と天井に囲まれた場所だった。  周囲には松明がいくつもあり、煌々と燃え上がっている。  光の源は、それらだった。 「ここは、一体……」  健一は呆然としながら周囲を見渡した。  まるで巨大な迷宮の中にいるようだと健一は思う。  周囲を見回していると、突然、背後から声が掛けられる。  健一が振り向くと、そこにいたのは鎧姿の男女だった。  男は槍を、女は剣を持っている。 「お前、誰だ? 見かけない服装だな」  男が警戒するように訊ねてくる。  長身でがっしりとした体格を持つ青年だ。  黒い髪は短く整えられ、鋭い眼光が彼の魅力を引き立てている。常に一種の静寂と力強さを感じさせ、無口ながらも厳かな雰囲気を漂わせている。  健一は戸惑った。 「僕は、健一といいます」  健一は名乗ってから、自分の格好を改めて確認した。  制服姿で、ポケットにはスマホが入っている。他には学生鞄ぐらいしか持っていない。  この場に不釣り合いなのは明らかだ。  だが、彼らは不審そうな顔つきのまま、こちらを見ていた。  敵意のようなものを向けられているのを健一は感じる。 「ここは、どこなんですか?」  健一は思い切って質問してみた。  しかし、男は首を傾げてみせる。  そして、こんなことを言ってきた。 「見ての通りだ。迷宮(ダンジョン)だよ」  そう言うと、男と女は去っていった。  健一は、その後姿を黙って見送るしかなかったが、このままでは一人残されることになる。  だから二人を追いかけることにする。 「あの。迷宮(ダンジョン)って、どういうことですか?」  健一の問に女の方が振り返り、面倒くさそうな顔つきになった。  だが、無視してそのまま行ってしまうようなことはしない。  彼女はため息をつくと、健一の方へ向き直ってくる。  健一は彼女の姿に目を奪われた。  美しい女性だと思った。  長い黒髪と白い肌が印象的だった。  切れ長の瞳が健一を見据える。  その視線が健一の心を射貫くようだった。  思わずドキッとしてしまい、健一は言葉を失う。  すると、彼女が口を開いた。  とても冷たい声で―― 「そのまんまよ。ここは迷宮。私達は、自分たちを守るために戦っているの」  それだけを言う。 「迷宮って。ここから出られないんですか?」  健一の言葉に女は頭を傾げる。 「出るってどういうこと。私――、私はルミで、彼はイドって言うんだけど、私達はこの迷宮にある集落で生まれて育ったの。だから、ここの外に出たことなんて一度もないわ。  でも、あなたは違うみたいね。君の言う、外側から来た人間なのかしら?」  女――ルミは不思議そうに見つめてくる。  健一は戸惑いながらうなずいてみせた。  イドが口元に指を立てて、静かにするようにジェスチャーを行う。  何事かと健一が思っていると、迷宮全体が震えるような音を響かせた。  見れば、進行方向先の通路が側面からせり出した壁によって塞がれるところだった。  重々しい音と共に前の道は閉ざされる。  次に健一が見たのは、自分たちが立って居る所の側面から壁が迫り出してくるところだった。  このままでは、潰されてしまう。 「こい!」  イドが健一の手を掴み、走り出す。ルミも続き、横にある脇道へと入り難を逃れる。 「これで、一安心だ」  イドが言う。 「完全に、迷いの迷宮に閉じこめられたわけね」  ルミが冷静な口調で言う。  二人が言う迷いの迷宮とは、迷宮内の構造が変わってしまい脱出できなくなる構造のことだった。  慌てても仕方がないということで、イドとルミはその場に座ると、健一にも座るように勧める。 「飯にしよう」  そう言って、二人は荷物の中から携帯食料を取り出して食べ始めた。 「食べる?」  ルミに訊かれ健一はうなずく。 「はい。実は僕もお腹が空いていて」  健一はルミから肉の塊を受け取る。何の肉かと思ったが、二人共食べているので大丈夫だろうと思って齧る。  表面は焼いてあったが、中は発酵した肉で独特の臭いと食感があった。 「う……」  健一は、その味に顔をしかめてしまう。  しかし、空腹だったので無理矢理飲み込むようにして食べた。  その様子を見ていたルミが微笑む。 「口に合わなかったかしら?」  健一は戸惑う。空腹なので食べることはできたが、積極的に食べたい程美味しくなかった。  だが、理解できるものがある。  カナダ極北地域で生活を営む人々・イヌイットの土地は寒帯と呼ばれる環境では野菜や果物は育たない。必然的に肉食の栄養の偏った食生活になるにも関わらず、動脈硬化も心臓病もなく健康で居続けられている。  それは生肉や酵素させた肉を食べることで、ビタミンを摂取できているからだという。 「僕の居た世界では、こういう食文化は無くて。肉も食べますけど、お米や、野菜を食べることが多いですね」  健一は自分の世界のことを話した。  空には太陽という光があり、海という塩水の水溜りがあることや、夜になると月や星が見えることなどを説明した。  健一は自分の住む宇宙の外側が分からないように、この世界では迷宮の外の世界が分からないのだ。  この迷宮は地下にあるのか。  地上にあるのか。  宇宙に浮かんでいることも考えられた。  それを聞いていたルミは興味深そうだった。  そして、健一は学校という所に行って勉強をしたり、友達と話したりするということを話し、ルミはそんな話を面白そうに聞いてくれた。  ふと、話していて健一は、つまらない日常と思っていたことが、実はかけがえのない時間だったのではないかと思うようになっていた。  訊けば、この迷宮には、人々の暮らす集落があるが、そこでも絶対に安全ではないらしい。  魔物が存在し、人々を襲っているのだそうだ。  守り生きるために魔物と闘わなければならないのだという。  それが、彼らにとって当たり前のことなのだ。  それを聞いて健一は、自分と彼女たちの世界の違いを実感する。 「羨ましいな。太陽の下では、野菜が育ち自分で育てて食べることができるのか。なら俺は、勉強ってやつをしてみたいな」  そう言ったのは、イドだった。 「私も、魔物が居なくて戦わなくてもいい生活って、どんなものなのか知りたいわ」  ルミも同意するようにつぶやく。  健一は自分が異世界にいることを改めて自覚し、元の世界に帰りたいという気持ちを強く持つようになった。  それは、今まで感じていた退屈さや虚しさを消し去るほどの強い衝動となっていた。  それから3人は、迷宮を歩き迷いの迷宮からの脱出方法を考え続けた。  すると健一が手をあげた。 「あの。さっきから思っていたんですけど、この迷宮の壁の配置が変わるパターンには法則があるみたいです」  健一の言うことが分からないのか、二人は首を傾げた。 「法則?」  健一は説明を始める。 「壁の配置が変化する。僕はこれに確率と統計の知識を用いることで、変化のパターンを予測しようと考えているんです」  二人は意味が分からず、ただ健一の話に耳を傾けるしかなかった。  論より証拠で、健一は試してみることにした。  健一は、これまで歩いて来た時に役立つのではないかとマップを書いており、その紙を広げて見せた。  そして、健一は壁の位置と地図を見て、その配置の規則性を見つけ出そうとした。  すると、すぐにその法則を見つけることができた。  健一は壁の並び方の法則を説明し始める。  その法則は、壁が移動している間にその順番が入れ替わるというもので、健一は何度も壁の移動と地図を見比べることで、その法則を見つけたのだった。  二人の反応は、あまり良いものではなかった。  それでも健一は諦めずに時計で測った時間で壁が動くタイミングを言い当てると、二人は驚いた様子を見せた。 「凄いな健一」  イドが褒め称える。  ルミも感心していた。  健一は、少しだけ嬉しかった。  しかし、まだ脱出できるかどうかが分かった訳ではないが、光明が見えた気がした。  それに今壁が動いた所は、健一が予測した通りの場所だ。次の壁の動きによって脱出口ができるかもしれない。  そう思い、健一は希望を持った。  彼らは再び迷宮の中に進み始めた。健一は慎重に周囲を観察し、壁の配置の変化を記録していく。健一は集めたデータを手元のノートに書き留めながら、確率と統計の知識を駆使して予測モデルを作り上げていった。 「色々と数字を書くのね。これが健一の言う、勉強の成果なの?」  ルミに言われ、健一は苦笑しながら答える。 「まあ、そんなものです。数学って学問の1つで、学生の僕にとっては大事なことなんですよ」  ルミはそれを聞いて不思議そうな顔をした。  どうやらこの世界には、そういう学問は存在しないようだった。  だから、彼女の質問は好奇心から来るものだった。 「次は、左に曲がると予測される。ただし、確率的なものなので100%の正確さはないけど、僕たちの進むべき道になる可能性が高いはずです」  するとイドが頷く。 「分かった。では、左に進もう」  イドが先頭に立ち、一行は左に進んでいった。  すると、予測通りの道が広がっていた。  行き止まりになっていた通路の先に、別の道が現れたのだ。  健一は喜びの表情を浮かべた。  ルミも嬉しそうだった。  だが、イドだけは険しい顔をしたままだった。 「どうしたのイド?」  ルミは呼びかけて通路の脇道から黒い大きな影が這い出て来るのを見た。  それは、巨大な蛇のような魔物だった。  全身が黒く、まるで影がそのまま動いているかのような不気味な姿をしてお り、鋭い牙を持っていた。  健一は初めて見る魔物に悲鳴を上げることもできず、恐怖で立ちすくんでしまった。 「下がって!」  ルミが叫ぶように言った。  イドは冷静に魔物に向けて槍を構える。  彼は、ルミよりも落ち着いていた。  魔物は、大きく口を開けて二人に向かって突進してくる。  イドは、魔物がルミに飛びかかる前に槍を突き出した。  その一撃は見事に命中したが、致命傷を与えることはできなかった。  魔物はそのまま、勢いよく壁にぶつかる。  しかし、それで倒れるようなことはなかった。  魔物は再び起き上がり、2人に襲いかかろうとする。  今度は、ルミが剣を振り上げて切りかかったが、それも効果がなかった。  健一は怖くて動けなかったが、何も出来ずに見守るしかなかった。  そう見るしかできなかったが、健一にはあるものが見え始める。  それは確率だ。  この世界で起こり得る現象の確率が、健一には見えるようになっていた。  そして、魔物が次にどのような行動をとるか予測できるようになっていた。  ノートと鉛筆を出し確率の計算を行う。  彼の目にはっきりと映っていた。  健一は、その情報を頭の中で整理する。  魔物の行動パターンは、大きく分けて3種類あった。  1つ目が上からの噛みつき。  2つ目が右からの噛みつき。  3つ目が左からの噛みつき。  健一は、魔物の攻撃を9回見て、それらの行動を計算し、確率の高い順に並べ変えてみた。  9回中、上からが4回、右からが3回、左からが2回。  確率を計算すれば、上44%、右33%、左22%だ。  そして、同じ方法の攻撃を続けて行わなかった。  魔物は上からの噛みつきを行って来る。  健一は、そこから次の攻撃も予測する。 「イドさん、ルミさん。あいつの次の攻撃は、右横から来ます」  健一の言葉を聞いたルミは、咄嵯に身を屈めて回避し、振り向きざまに魔物を斬りつけた。  その一撃は、正確に魔物の顎下を捉えていた。  斬られた箇所から血が流れ出す。 「次は、最も多い上からの噛みつきです」  健一の言葉を信じるようにイドは槍を構えて待ち構える。  予想通りに魔物は、上からイドを狙って飛びかかってきた。  反撃の突きを繰り出した。  魔物の喉の奥に、イドの放った槍が深々と刺さる。  魔物は苦しげに声を上げ、地面に倒れた。 「やった!」  健一は歓喜する。  そこへ、魔物の尾が襲いかかった。  正確には、魔物ののた打ち回りだが、それは十分に攻撃と言っても差し支えのない一撃だ。 「健一!」  ルミが叫ぶが、尾は健一を捉えていた。  健一は宙を舞っていた。  衝撃は凄まじかった。  健一は、自分の身体がバラバラになったのではないかと思うほどに激しく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。  そのまま崩れ落ちるように倒れ込む。  意識が遠のいていく。 「健一。しっかりしろ! 健一!」  イドの声が聞こえる。  そして、誰かが駆け寄ってくる足音と、自分を揺さぶっている感覚があった。  しかし、健一はそれに反応することができなかった。  視界が暗くなっていく中、ルミが何か叫んでいるような気がした。  そこで健一の意識は完全に途絶えた。    ◆    気がつくと、健一は道の真ん中で立っていた。 「え?」  健一は、戸惑いながら周囲を見渡す。  そこは、コンビニの前を通り過ぎた場所だった。  さっきまで一緒にいたはずの、ルミやイドの姿はなかった。  健一は夢でも見ていたのかと思った。  空を見上げると、月が浮かんでいた。  やはりここは、異世界ではなく現実世界なのだ。  彼は家に帰ることにした。  自宅に着くと、母親が迎えてくれる。 「お帰り健一……。あら、何? 友達とラーメンでも食べて帰ったの?」  母親の問いに健一は意味が分からなかった。 「何のこと?」  すると母親は、呆れ顔をする。 「口臭。何か臭うわよ。そんなんじゃ彼女もできないから気をつけなさい」  母親に言われて健一は、口元を両手で覆い隠して吐いた息を自分で嗅いでみる。  すると、強烈な臭いがした。  それは、迷宮でルミから分けてもらった肉の臭いだ。 「晩ごはん食べれる?」 「うん」 「なら、先にお風呂に入って歯磨きしときなさい」  健一は、風呂に入り母親の作ってくれた晩ごはんを口にした。  炊きたてのご飯を口にし、その美味しさに驚く。  そして、野菜スープを口にし、豚肉の入った野菜炒めを食べる。  幸せを感じた。  退屈でつまらない生活だと思ったことが、今では嘘のように感じられた。  健一は、この世界に戻ってこれたことに感謝した。  なぜあの道に入り、あの世界に迷い込んでしまったのか不思議に思うほどだった。  イドとルミに、お別れを言うことはできなかったのは残念だが、二人を迷いの迷宮から出すことができたことが良かった。  あの二人なら、自分たちの集落に戻っていることだろう。  健一は現在の自分を想う。  食べ物に困ることもなく、恐ろしい魔物に遭遇し命がけの戦いをすることもない平凡な日常が戻ってきたのだ。  それは、彼にとって最高の贈り物だった。  健一にとって、この世界での生活は素晴らしいものだった。  空に輝く太陽の明るさ、雨が降るときの空気の匂い、夕暮れ時の朱色の美しさ、夜になると見える星々の輝きなど、今までに知らなかったことをたくさん知った。  毎日が楽しくて仕方がない。  学校に行くのが待ち遠しく、授業は新鮮で面白い。  その日々は充実していた。
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