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ふわっ、と。
風圧に顔を上げると、電車が入ってくるところだった。いつもの見慣れた色合いではない、車体になにやらチカチカと描かれたラッピング電車だった。
そこでようやく、シンヤは気付いた。思わず「あっ」と声が出た。
あの、大量の酒とつまみを買っていったイケメン、の顔。
見覚えがあるはずだ。バイト先のコンビニで、ちょいちょい貼り出されるポスターでもお馴染みだ。ラッピング電車を見ながら、シンヤはしばし立ち尽くした。
彼は某球団の左のエース、ユニフォーム姿で不敵に微笑んでいる。
右奥にバッティングフォームが写っているのは後から合流したガタイのいい若い男で、次期主砲候補の伸び盛りの外野手だった。
そしてエースの左側に写る、ワインドアップの長身の投手は、
「ほたか、だから……たかちゃん、か……」
ご近所のお嬢さん、お兄さん、
紳士淑女の皆様や、高校球児の皆さんも、
物理学者のあの人も、プロ野球選手のあなたも。
どなた様もいらっしゃいませ。
皆様のホットステーション、今後とも、どうぞご贔屓に。
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