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シンヤは別に、その手のことに理解があるわけじゃない。
ありえないとか、キモチワルイとか、そんな風には思わないが、やっぱり自分とはカンケーない、どこか異国の話みたいなものだった。
でも。
本当に幸せそうだったので。
なんともない会話も、仕草も、二人の空気感も、どうってことないさりげなさで、ただの日常っぽくて。
学生生活よりは落ち着いているが、家庭生活というには初々しい。
帰りにから揚げを買って二人で分けるんだろうとか。
友だちが遊びに来たら、なんだかんだと付き合って一緒に飲むんだろうとか。
この時期は二人で鍋もするんだろうとか、初詣には一緒に行くかもしれないとか。
どうでもいい毎日に、この店があると思うと、腹のなかがじんわり暖まるようで。
かたちゃん(と楓さん)がこれに懲りず、また来店してくれればいいな、と、シンヤはちょっとだけ思った。
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