ミリしら脱出ゲーム〜東海道川崎宿迷子紀〜

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 ミヤ先……もとい、間宮藍架先生は普段は深窓の令嬢然とした社会科の教諭なのだが、筋金入りの歴女で日本史の授業は彼女の単独ライブ化している。 「いや、(ため)()惣網代(そうあじろ)は公家とか将軍のって言ってたような」 「あ、たしかに。そいや言ってたな……うん」 「まあ、どっちでもその類なのは変わりないだろうし。可能な限り近づかない方針で」 「あー、じゃあ道の端を通るようにしよっか」  白雪を先頭に俺、鰄の順で一列になって北を目指す。というのも、この事象に巻き込まれてから暫くして白雪がスマホを訝しげに見て。 「……どうした?」 「いや、身に覚えのないアプリが入ってて、なんか北を目指せって書いてあるんだけど」 「あ、俺のスマホにもそのアプリ入ってた」  二人のお前も確認しろと言いたげな視線に負けスマホを起動すると、予想通り俺のスマホにもそれは入っていた。 「……俺のもだわ」  とりあえず、謎のアプリ『ミリしら脱出ゲーム』の指示に従い北を目指してはいるが、俺はどうにも嫌な予感が拭えずにいた。
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