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「ねえ、これ本当に北に進んでるのかな?」
息を切らせながら鰄が言った。
「んー、分かんないけど多分あってると思う。てか、このアプリが指してるのって俺らが最初に迷い込んだ場所じゃ無いか?」
「そうかも、さっきそこの家見た気がするし……て、どうしたの急に立ち止まって」
白雪は十字路手前で立ち止まると、震えた声で。
「ふ、二人ともごめん! とりあえず逃げるじょ」
「……は? おい、白雪。まさかなんだけど」
肌に刺さるような殺気に、錻力細工さながら振り向くと案の定。そして、脳裏をよぎるのは先日習った生麦事件。
インプットしたら必ずアウトプットしろとは言われたけど……流石にこれは違うでしょ。
「うん、ごめん。そのまさかです」
「わ、わざわざ一列になってたのに……にゃんで!?」
「そもそも俺ら横切って無くないか!? なんで追われてんだ理不尽すぎるだろ」
とはいえ、目をかっ開いてまるでbotのように「切り捨て御免」と叫び追いかけ回してくる侍と対話を試みる勇気は無い。
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