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《それって全部の写真がってこと?》
《いや、迷い込んだ時に落としたポテチはしっかりそのままだったけど。それ以外の風景とかは全部こんな感じ》
そのメッセージと共に添付された写真は、なんでそんな写真撮ってるんだよと思わせる代物だったが、それは一旦置いといて。俺らが持ち込んだ現代の物はそのままの形をしているのに対して、暫定川崎にあった物は何処か狂っていた。
現に今ラインに上げられた写真も、俺の眼には背景の歪んだ浮世絵のように見えている。
《なあ、その写真おかしくないか? 俺には飢饉の浮世絵っぽく見えるんだが》
《え、星宮にはそう見えるの!? 俺には大火の絵に見えるんだけど。もしかしなくてもこの写真って俺らの認識を狂わせてないかな?》
写真を眺めること数分。鰄の仮説通りそれは唐突に起きた。
「……なんか腹が痛いし喉も異様に渇いてきた」
極め付けはスマホを弄る腕が木乃伊さながらに渇いたモノに変貌しており、驚いた拍子にスマホを床に落とすと、どういう訳か元の生気のある肌に戻っていた。
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