リボンの騎士

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リボンの騎士

手塚作品の読者でも、この作品だけは読んだことがないという人もいれば、この作品しか読んだことがないという人もいる。リボンの騎士は、他の多くの作品と違い、少女漫画として描かれたものだ。そして、この作品を読まずに手塚作品を語るのは、早計というものだ。 内容は、ある国に王女が生まれるのだが、天使の手違いで、男の子と女の子、両方の心を持って生まれるのだ。天使は男の子の心を取ってあげようとするのだが、悪魔や家来達に阻まれ、悪戦苦闘する。恋愛や後継者争いなど、魅力的な要素がたっぷりあり、女性読者だけでなく、男性も十分に楽しめる内容になっている。 手塚作品を読むと、グロテスクなものが多い。ブラックジャックは手術シーンでは体を切り裂くし、他の作品も戦や人殺しなんかがいっぱいあって、人によっては受けつけないかもしれない。しかし、この作品は、少女漫画なので、そういったシーンは一切なく、かわいらしいキャラであふれているので、安心して読むことができる。 手塚治虫が少女漫画? と不思議に思う人もいるかもしれないが、これにはからくりがある。彼は宝塚の出身であり、小さい頃から宝塚の女優を見ていたのだ。その経験から描かれた作品なのである。クリエイターの能力は、作品の幅の広さといってもいい。この作品を読むと、手塚治虫の能力の深さというものをつくづく感じてしまう。
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