ブッダ

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ブッダ

手塚治虫ほど挑戦し続けた漫画家はいないのではないだろうか。SF漫画、医療漫画、果てはナチスを扱った戦争ものまで、あらゆるジャンルに挑戦している。そして、一人の宗教家をここまで描こうというのは、正気の沙汰とは思えない。 ブッダという漫画は、世に言う、お釈迦様の生涯を描いた作品だ。一つの見方をすれば、実在した人物の伝記的な漫画、ということになるかもしれない。しかし、その内容は、ブッダの思想をえぐり出し、生命という本質を極限まで描き出した、怪作だ。この漫画家には、ブッダの魂が乗り移っているのではないかと、本気で考えてしまう。 世の中には、真似ができない傑作というものがある。あまりに素晴らしく、あまりに才能が輝き、他の作家には手が届かないというものだ。しかし、この作品は、そんな次元を超えている。この作品は、人間が描いたとはとうてい思えない。この作品を読めば、彼が神様と呼ばれていたのも、うなずけてしまう。
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