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駅前で鳥にフンをかけられた小さな女の子が泣いていた。その母親が娘をなだめながらウエットティッシュでスカートに落ちたフンを拭き取ってる。そのすぐ近くで鳩が首をギコギコ揺らしながら歩き回っていた。
通りすがりの人達がその親子に同情の視線を送りながら、早足で駅前を離れて行く。
「うんこ道って知らないのかな」
スイミングスクールのバックを持った少年達がヒソヒソと話しているのが背後で聞こえた。
「うんこ道?」
そのパワーワードに思わず二人に声をかけた。
「う、うん」
少年達は、突然振り向いた私に一瞬たじろいだが、すぐに人懐こい笑みを浮かべた。
「そこ、夕方になると鳥が集まるんですよ。今はあんまりいないみたいだけど」
駅前の大きな木に鳥達が集まって、ギャアギャアと鳴いていた。
「木の下は要注意って事ね」
「それだけじゃないですよ」
「え?」
少年達の視線の先に中年女性と小型犬がいた。
「あの人、犬のフン拾わないんですよ」
眉間に皺を寄せて不快感をあらわにした。
「あの女性? あの犬のフンなの?」
ショルダーバッグを斜めがけした女性が、小型犬を路肩の草むらに誘導していた。
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