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「遙さん、そろそろ引き上げて店に行きましょうか」
「あっ。はい」
お揃いのTシャツを着た田中と藤野が、最後まで掃除をしていた。
「あの二人、付き合ってるのかしら」
幸枝が嬉しげに仏頂面の高橋に言った。
相川不動産は、幸枝の夫と数名の社員の会社らしい。
「あなたくらいの娘が一人いてね。たまに一緒に清掃するのよ。猫好きがこうじて今は野良猫の保護活動のボランティアをしてるわ」
「親子でボランティアだなんて素敵ですね」
「そんなすごい事じゃないのよ。私は仕事柄、地域の事は知っておきたいし、ここを選んで住んでもらうなら綺麗な街でいて欲しいじゃない」
「はい」
「だから、本当に今回の事は悩みの種でねえ」
ずっと監視しているわけにもいかず、手が空いた時に見回りがてら清掃しているのだという。
「本当に伊藤さんが犯人なのでしょうか」
「考えたくないけど、私達の事を良く思っていないのは確かね。ごめんなさいね、こんなゴタゴタ見てたら住みたくなくなるわよね」
「いえ、色んな人がいますから」
少なくともボランティアで出会った人達は自分達の住んでいる街を良くしようと行動している。
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