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「そうなんですか」
きっと子供達には恐れられていただろう。
「……確かに今日は数が多いな」
高橋がゴミ袋の中を覗き込んで唸る。
「私達を困らせる為に誰かがわざとあちこちに猫の餌を置いたっていうの?」
そんなバカなと幸枝が笑う。
「バカな事だが、あり得ない話じゃない。餌の調達はそこのコンビニでも出来るしな」
駅の側のコンビニを指差した。
「子供達が、駅からの道をうんこ道だって言ってました」
「え?」
傍にいた人達が表情を曇らせた。
「それから鳥のフンや猫のフンが沢山落ちてるから踏まない様に気をつけてって」
「そんな嫌な名前で呼ばれたら、サクラのイメージも悪くなるわね」
ふてぶてしい様子のサクラを思い浮かべる。
「あの子、桜の季節に突然現れたの。桜カットしてるからって思っている人もいるけど」
不妊去勢手術済みである目印として、耳の先端をV字型にカットされた野良猫をさくら猫という。
「皆んなに愛されてる猫なのよ」
幸枝は心配そうな表情で高橋を見つめた。
「餌に変なものを混ぜたりしなきゃ良いが。遊歩道は犬の散歩コースにもなってるからな」
先程の中年女性と小型犬を思い出す。
「そういえば、子供達が……」
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