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「札付きの『ひつじくん』じゃん〜!! 許せん!!」
『斜陽』で返す。返し方わかりにくかったかも〜。いや、太宰はどうでもいい!!
許せん!! 野矢に、ドン引きするほど哀しいことを吹き込むなんて!!
「『許せん』? 私の健全な育成を案じているのか?」
ハッとした。いや、すなおーに「おれの野矢に吹き込むなんて……!」って思っちゃってごめんなさい! 野矢は誰のものでもないのに!
独占欲が先走ってて本当にすみません〜!! とにかく誤魔化さなきゃ!!
「そそ!! やっぱ節度は保って、お互い知りすぎないようにはさ! 男子の社交としてはさー! 節度ね。節度。紳士協定はやっぱさー!?」
自分が何言ってんのかよくわかんなくなる。
違うのよ。おれは、野矢がそういう大人の階段を一段ずつ上るとき隣にいたいわけ。一緒に、大人になってから知った方がいいことも……。うん。とにかく。わかるでしょ?
辻田許すまじ。
独占欲ってこういうことなんだ。おれ今めちゃくちゃ辻田のこと嫌いだし。でも独占って、相手が了承してくれなきゃできないから。
おれ、野矢に了承してもらわないと苦しいばっかだ。苦しいばっかなの、やめよう。ちゃんと距離を詰める意志を持って、野矢との時間を作ろう。それで、好きって言おう。
紳士協定、って言葉にツボって笑ってた野矢。ようやく笑いがおさまって、甘夏ジュースをぐっと飲み干す。喉仏が綺麗。おれは最初から、野矢の喉仏が綺麗だって、思ってたのかもしれないね。わかんないけど、そんなこと。
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