僕の歩いた街の風景

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 僕は周囲の誰よりも世界を感じているつもりになっていたし、多分本当にそうだったと思う。  世界では、常に銃口が火を噴き、人が簡単に路頭をさまよい、あるいは倒れていった。  一方で、金が価値を決め支配する国の外には、メディアを通してだが、極限状態でもプライドを守り深い愛情を示す人々の姿が数限りなく見受けられ、俄然僕は世界に志向した。  そのように、生ぬるさに浸る国の外で、地球上の全世界で起きている喜びと悲しみ、怒りと屈辱の渦に、多感な時期を送る僕は、日々目が回りそうになっていた。
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