はじまり

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はじまり

僕は裕福では無かったが毎日実直に働いていた… 仕事はベルトコンベアーから運ばれる製品に部品を取り付ける作業であり… 来る日も来る日も同じ事を繰り返す単純作業であった。 違う仕事をして裕福になる夢を見ることはあるが… 僕の範疇では夢を実現する事は不可能であった。 僕は裕福を手に入れたくて「悪」に手を染めた… 「悪」…それは高齢者を騙す詐欺であった。 『もしもし、僕…ばあちゃん?』 『僕、大変な事をしてしまった…』 『頼れるのは…ばあちゃんだけなんだよ…』 「え、なんだい…大変な事って?」 『電車で会社のお金を盗まれて…』 『正直に会社に話せば「クビ」になっちゃよ…』 『どど…どうしょう?』 『本当、おばあちゃんしか頼む人いないんだ…』 『助けて欲しい…』 「…」 「そうかい…それでお金いくらなの?」 『500万….なんだよ』 「分かったよ…」 『ばあちゃん…』 『ありがとう…』 『今、会社の人がおばあちゃんの家に行くから…』 『その人にお金…渡して…』 僕は詐欺グループの仲間となり勧誘者として高齢者から金を騙し取り… 報酬を得ていた。 そして… お金を手に入れ裕福となったが… 何かが違う? 満たされるものが欠けている? そんな事を感じ始めた僕は… 警察のオレオレ詐欺トラップに引っ掛かり…捕まった。 そして、僕は犯罪者となり刑務所に入る事になった… そんな時… 留置所に居た僕に何処からか… お告げが…
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