『第五章 騒乱の居城から』のあらすじ

1/1
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

『第五章 騒乱の居城から』のあらすじ

 この作品は、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す (第五章 騒乱の居城から)』( https://estar.jp/novels/26103977 )の続きとなっております。  また、物語全体のはじまりは、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す (第一章 桜花の降る日に)』( https://estar.jp/novels/26084370 )です。  よろしくお願いいたします。  鷹刀一族の屋敷は、警察隊の家宅捜索を受けていた。総帥イーレオに対し、『貴族(シャトーア)の藤咲メイシア嬢を誘拐した』として逮捕状が出たためである。 「私がなんとかします」と言ったメイシアがやっと到着し、スピーカーを使って、屋敷中の人間を桜の大木のある庭に集めた。  メイシアが皆に向かって話を始めようとしたとき、ひとりの警察隊員が「あなたはメイシア嬢の替え玉ですね」と、彼女に向かって発砲する。危ういところで、リュイセンがその警察隊員を倒し、事なきを得た。  改めて、メイシアが話を始めるという段になったとき、彼女はいきなりルイフォンにキスをしてきた。そして、「自分とルイフォンは恋仲であり、反対する父親から逃げ出してきた。だから誘拐されたのではなく、自分の意志でここにいるのだ」と宣言する。  勿論、警察隊を退けるための演技である。「騙されるな」と叫ぶ、警察隊の指揮官。しかし、そこにメイシアの異母弟ハオリュウが現れた。  ハオリュウは、異母姉メイシアに「どうしても鷹刀一族を助けたいのか」と尋ね、異母姉の決意が堅いのを知ると、しぶしぶながら協力してくれる。囚えられた父親が、家を出る前に残していった「当主の指輪」を示し、当主代理として警察隊を黙らせたのだ。  一般の警察隊員はそれで収まったのであるが、執務室でイーレオと対峙していた指揮官は、それで引き下がるわけにはいかなかった。彼は、斑目一族や厳月家と共謀しており、イーレオを必ず逮捕するようにと、警察隊に化けた屈強な男たちを補佐につけてもらっていたのだ。  指揮官は、「イーレオを逮捕できないなら殺せ」と男たちに命じる。しかし男たちの代表の巨漢が、なんと指揮官を刺し、イーレオに対して『指揮官傷害事件』の現行犯で逮捕するといい出したのだ。指揮官が「イーレオがやった」と言い張れば、その通りになると言い張って。  絶体絶命のピンチ。だが、イーレオは平然と、護衛のチャオラウに向かって「巨漢を捕まえろ」と命じ、チャオラウも主人の期待に応え、巨漢を捕縛したのだった。  執務室に、ルイフォン、メイシア、ハオリュウらが到着した。彼らの目的は、ハオリュウの権力で指揮官を従わせることである。  しかし、執務室に入ったハオリュウが見たものは、血溜まりの中に倒れている指揮官と、捕縛された警察隊姿の巨漢だった。  敵対している者たちが倒されているのを見て、ハオリュウはイーレオがやったと思い込み、「やはり凶賊(ダリジィン)は信用ならない」と落胆する。しかし、メイシアの説得と、鷹刀一族と手を組んだ警察隊員、緋扇シュアンの機転により、誤解は解ける。  これで一件落着と思ったところで、捕まっている巨漢が「自分はどうなってもいいから、邪魔者をすべて殺せ」と部下である屈強な男たちに命じる。そのとき、イーレオが「〈ベロ〉、()れ!」と叫んだ。 〈ベロ〉とは、屋敷を守るコンピュータの名前である。〈ベロ〉には、イーレオの命令で、執務室にいる「登録されていない人間すべて」を銃殺するよう、ルイフォンの仕掛けが施されていた。  これによって、敵をすべて抹殺。情報を聞き出そうと、チャオラウに命じて捕縛した巨漢までが殺された――と思ったら、〈ベロ〉が『自分の意志で』巨漢への攻撃を手加減していた。〈ベロ〉はただのコンピュータではなく、亡くなったルイフォンの母親が、密かに人工知能を仕込んでいたのだ。  めでたく警察隊を撃退したにも関わらず、得意分野であるコンピュータで、亡き母親に叩きのめされたルイフォンはショックを受け、部屋に引きこもってしまった。  また、生かされた巨漢と、メイシアに発砲してリュイセンに倒された警察隊員は、情報を聞き出すための捕虜となった。  ルイフォンを心配して、メイシアは彼の部屋に行く。だが、自棄になったルイフォンは、メイシアに冷たい言葉を浴びせた。  それでもメイシアは「無事だったことを、『今、あなたと一緒に』喜びたい」と、ルイフォンを包み込む。気休めの慰めを言うわけでなく、もっと大切なことを教えてくれたメイシアに、ルイフォンは心を打たれ、立ち直る。  そして、彼は「ある決意」をしたのだった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!