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熟女と聞いて私はふと思い出した。
松永さんとスペインバルの店内に入った際、私が腕にしがみついたままでいたことを嫌そうにしていたことを。
「あの、私が腕にしがみついたのは嫌でしたか?」
「ん? あー、あれか。ふふっ、嫌じゃないよ」
松永さんは、胸が当たっていたことに居心地の悪さを感じていたという。普段、松永さんは私にパンツ見せてとかストッキング破きたいとか土下座するからケツ揉ませてとかロクでもないことを言うが、胸については何も言わないことを不思議に思っていた。松永さんは脚フェチなのだと思っていた。
「だってさ、奈緒ちゃんのおっぱいが大きくて柔らかくてさ、そんな風に思ってなかったから、何となく、離れた――」
その時、松永さんが振り向いて暗闇にタンクトップだけが浮かび上がった。
松永さんは首を締められた、のだと思う。暗くてよくわからない。
私はランプの照度を上げて部屋を明るくすると、松永さんの背後に中山陸さんがいた。
松永さんをスリーパーホールドで落とし、だらりと横たわる松永さんの髪を掴んだ中山さんは松永さんの顎を膝蹴りした。
「……お疲れさまです」
「俺もおっぱい大好きだよ」
振り向いて笑う中山さんは声が掠れていた。
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