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その店は街路樹が道路に沿ってある美しい繁華街にある。ウィンッと自動ドアが開くと、ボクは中に入った。しばらく自分の番が来るまで、待合のソファーに座っていた。 「斉藤さん準備ができましたよ」 ボクの名前を呼ばれた。キレイな茶髪の背の高いお姉さんが呼んでいる。 「よろしくお願いいたします」 ボクは挨拶をした。 「どんな髪型にしますか?」 お姉さんは訊いた。 「全体的に今の髪型を短く切って、清潔感がある感じでお願いします。」 「わかりました」 「今日、晴れていて、気持ちのよい天気ですね」 「ええ。店全体に気持ちの良い日差しが入ってきて、いいですね」 しばらく会話が途切れた。無言で髪を切ってもらう。 「先日、タクシーに乗って。運転手さんがこんな話をしたんですよ。旅先でホテルに泊まって、誤ってリモコンに触ってしまったらしいですよ。そしたらアダルトビデオが流れて、気持ち悪い。気持ち悪いって、思って。テレビを消したって言ったんですよ。その「気持ち悪い」ってフレーズが面白くって」 場を和ませようとして、とんでもない話をしてしまったと思った。 「あーそうなんですね。人によって笑いのツボって、ありますよね」 茶髪のお姉さんは、ニッコリと笑った。お姉さんとの距離が縮まったと思った。ボクは、本題に入った。 「ボクには憧れの女性がいて、美容師に今年なって、どこかの美容室に就職したんですよ。でもそこがどこかわからないですよ。だからその女性に会いたくて。就職した店に行ってみたいんですよ」 「へぇーそうなんですね。どんな方だったんですか?」 「おしゃれ好きで、髪の毛を金髪に染めています」 「その娘(こ)って、おしゃれ好きだよね?そしたら、今、流行ってる店だと思う」 ボクはある店を紹介してもらった。その店に行ってみることにした。
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