48人が本棚に入れています
本棚に追加
3
その店は街路樹が道路に沿ってある美しい繁華街にある。ウィンッと自動ドアが開くと、ボクは中に入った。しばらく自分の番が来るまで、待合のソファーに座っていた。
「斉藤さん準備ができましたよ」
ボクの名前を呼ばれた。キレイな茶髪の背の高いお姉さんが呼んでいる。
「よろしくお願いいたします」
ボクは挨拶をした。
「どんな髪型にしますか?」
お姉さんは訊いた。
「全体的に今の髪型を短く切って、清潔感がある感じでお願いします。」
「わかりました」
「今日、晴れていて、気持ちのよい天気ですね」
「ええ。店全体に気持ちの良い日差しが入ってきて、いいですね」
しばらく会話が途切れた。無言で髪を切ってもらう。
「先日、タクシーに乗って。運転手さんがこんな話をしたんですよ。旅先でホテルに泊まって、誤ってリモコンに触ってしまったらしいですよ。そしたらアダルトビデオが流れて、気持ち悪い。気持ち悪いって、思って。テレビを消したって言ったんですよ。その「気持ち悪い」ってフレーズが面白くって」
場を和ませようとして、とんでもない話をしてしまったと思った。
「あーそうなんですね。人によって笑いのツボって、ありますよね」
茶髪のお姉さんは、ニッコリと笑った。お姉さんとの距離が縮まったと思った。ボクは、本題に入った。
「ボクには憧れの女性がいて、美容師に今年なって、どこかの美容室に就職したんですよ。でもそこがどこかわからないですよ。だからその女性に会いたくて。就職した店に行ってみたいんですよ」
「へぇーそうなんですね。どんな方だったんですか?」
「おしゃれ好きで、髪の毛を金髪に染めています」
「その娘(こ)って、おしゃれ好きだよね?そしたら、今、流行ってる店だと思う」
ボクはある店を紹介してもらった。その店に行ってみることにした。
最初のコメントを投稿しよう!