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「申し訳ないけど、お断りします。」
「えっ!?ど、どうして?」
「私、まだフリーでいたいから。じゃあね。」
男は呆然とした顔でその場に立ち尽くしていた。
名前は鹿島…萱島だったかな?
見た目はけっこうイケメン、家は資産家、センスも悪くない。
だけど、なぜだかわたしは納得することが出来なかった。
別に贅沢を言うつもりはないけれど、ピンと来なかったんだから、仕方がない。
自分ではよくわからないけど、見た目は良いみたいだ。
小さい頃から、外見を褒められることは多かった。
ありがたいことなのに、幼い私はなぜだかそのことに反感を覚え、勉強に勤しむようになった。
私は顔だけじゃない。
頭だって良いんだと言いたくて。
他に、ピアノと英会話を習った。
そのおかげで、いつしか私は周りから一目置かれるスーパーレディとなった。
告白は、小学生の時から体験した。
中学ともなれば、しょっちゅうだ。
誕生日には抱えきれない程のプレゼントをもらうし、風邪を引いて休んだら、家にお見舞いの品が山程届く。
そういうことが、当たり前の日々だった。
やがて、高校、大学も似たような日々を過ごし、大手商社に就職した。
社会人になれば何かが変わるんじゃないかと思ったけれど、何も変わらなかった。
私は、周りの人に愛されるばかりで、私は誰にも惹かれなかった。
そのことが、私の一番のコンプレックスだ。
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